映画「イミテーション ゲーム/ジェラシック ワールド/ミケランジェロ プロジェクト/ブリッジ オブ スパイ」

★ イミテーション ゲーム ★
 



  第2次大戦下、ケンブリッジ大学の研究者アラン・チューリングは誘いを受けて田舎町の政府施設を訪ねる。そこで託された極秘任務こそ戦争の行方を左右する暗号解読の仕事だった。チューリングはドイツ軍の暗号エニグマを解読するチームを率いるリーダーとなる。その彼は若き天才的数学者であり、発達障害で同性愛者。この仕事が知的な挑戦を越えて、人命にかかわることであり、戦争を終結させることになる重大な仕事であることに気づいていく。

 同性愛者であるチューリングが、自分が採用し同じ任務を担う女性との結婚と別れ。ソ連のスパイとわかっていて利用するMI6。暗号が解読でき、メンバーの兄弟が乗船しているイギリスの軍艦の攻撃計画を知るが、最終の勝利の為にその攻撃を知らせることができないジレンマ等等、 ストーリーが凝っていて楽しめた。「かくも複雑な色調を放つ本作を、カンバーバッチの真っ直ぐな存在感が見事に一本の柱として貫いた。巨大な謎に挑む究明者にして、自分自身もまた謎そのものであるという難しい役どころを、たった一個の身体で表現し得たその凄み。役者としての巧さ、演技の奥深さに震える一作である」という牛津厚信さんの映評に頷ける。秀作だと思う。
 
 
 
★ ジェラシック ワールド ★
 



 3Dで観た。3Dは2度目の経験。
もう20年以上前になるのか、「ジェラシック パーク」の映像を目にした時のインパクト…こんなにリアルに恐竜の生息する世界に入っていけるのか…圧倒された。
 今回の「ジェラシック ワールト」はエンターテイメントととして楽しめたが、「パーク」の感覚をゆすぶられるようなことはなかった。
人物もアメリカ人の考えるステレオタイプの設定で、共感したり思わずのめりこんでいくということはなかった。お金も時間もかけて作られている映画、もちろん、エンタテイメントとして十分に楽しめた。
 
 
 
 
 
★ ミケランジェロ プロジェクト ★
 




 ヨーロッパ各国に侵攻したナチスドイツが歴史的に重要な美術品の略奪を繰り返していた第2次世界大戦下、ルーズベルト大統領から建造物や美術品を保護する任務を託された美術館館長フランク・ストークスは、7人の美術専門家で構成される特殊チーム「モニュメンツ・メン」を結成し、危険な状況下で美術品保護のための作戦を遂行していく。
 ドイツ兵が倉庫に秘匿したおびただしい数の名画を火炎放射器で燃やす場面、ソ連軍との駆け引きなどが印象に残った。
 
 
 
 
 
 
 
 
★ ブリッジ オブ スパイ ★
 

 

 
  
 アメリカとソ連が一触即発の状態にあった冷戦下の1950~60年代。ジェームズ・ドノバン(トム・ハンクス)は、保険の分野で実直にキャリアを積み重ねてきた弁護士だった。彼は、米国が身柄を拘束したソ連のスパイの弁護を引き受けたことをきっかけに、世界の平和を左右しかねない重大な任務を託される。それは、自分が弁護したソ連のスパイと、ソ連に捕えられたアメリカ人スパイを交換することだった。良き夫、良き父、良き市民として平凡な人生を歩んできたジェームズは、米ソの全面核戦争を阻止するため、全力で不可能に立ち向かってゆく……というお話。

 ジェームズ・ドノバン、善良でタフで正義を貫く、そして家族を愛する良き市民ーーハリウッドのヒーロー像には相変わらずだなと思ったが、楽しめた。
 偵察機U2の地上での機影、単座のコクピット、青酸カリを持参した極秘任務、高性能カメラで高高度からの撮影、地対空ミサイルによる撃墜のシーン、収容所での過酷な尋問。ベルリンに壁が築かれる様子。東ベルリンでの東ドイツ当局とソ連共産党との軋轢。東ベルリンへ行く列車。壁を越えて西に逃亡しようとする人が撃ち殺されるシーン。最後のソ連スパイとパイロットの交換の場面など多くの場面が印象に残った。 
 
 
 
 
★ オデッセイ ★
 





 火星にただ一人取り残されたマーク。持ち前の植物学者としての知識を活かし、前ミッションから残留保存されていた資材を材料に水、空気、電気を確保すると、さらに火星の土とクルーの排泄物をもとに耕作用の土を用意し、ジャガイモの栽培に成功する。次のミッションであるアレス4が到着するまでの4年間を生きのびようとする。火星での日常に、違和感なく入っていけた。
 
 地球へ帰還するヘルメス号の飛行士の日常も、長い宇宙船での飛行はそういうことになるんだと興味深かった。

  NASAのロケットによる支援ができなくなった時、中国国家航天局から助けが提供され、救助のための輸送を中国のロケットが引き受け、地球軌道に乗せることに成功する。地球での出来事もよく作られていた。


 火星・ヘルメス号船内・地球という異なる空間での、環境や心理の描き方に引き込まていった。

 マーク生存の報を聞いた地球帰還中のアレス3のクルーが乗るヘルメス号はNASAの指令に反し、地球上の軌道でスイングバイを行いながら中国のロケットでもたらされた追加食料などを受け取ると、火星へ戻る。 宇宙空間でクルーがマークをキャッチしようとするシーン、思わず引き込まれた。上下も左右も存在しない空間での浮遊感、スピード感など新しい感覚が呼び醒まさせられるような映像だった。秀作だと思う。原作の小説を読む予定。

 

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