かぐや姫の嘆き(竹取物語 八月十五日ばかり…)もつと、深くへ !

 かぐや姫の嘆き

(竹取物語)
~もっと、深くへ ! 

無文字言語から有文字言語へ

 竹取物語」は今から1100年以上前に書かれました。この物語、「源氏物語」の中で「物語のいできはじめの祖(おや)」と書かれていますが、私たちが読むことのできる、かな文で書かれたが国最古の物語です。文学史上エポックメーキングとなるものです。
 
 そのころは、現在みたいに評論や小説などが自在に書かれていたわけでないことは言うまでもないでしょう。

 そもそも日本語は文字を持たない無文字言語(unwritten language こちらへ)でした。もっとも、文字はなくても、神話や伝説や歌は口承(こうしょう)されていました。そういうものを語り伝える語り部こちらへ)という専門職もありました。


 さまざまな経緯を経て、日本語をひらがな・カタカナ・漢字(=文字)で表記できるようになっていったのです(より詳しくは、コチラへ)。


 平安時代の初期(1200年ほど前)に、漢字を元にしてひらがな・カタカナが発明され、そうして初めて、私たちが日常使っている言葉で、リアルな心情や情景の文章表現ができるようになっていきました

 このようにして、かな文字で書かれる物語が書かれるようになり、新しい文学に発展していきました。文学史的には、こうして、架空の人物や事件を題材にした〈作り物語〉(「竹取物語」など)と、歌の詠まれた背景についての事情を文字化した〈歌物語〉(伊勢物語)の二つが成立したとされています。


かぐや姫の嘆き(竹取物語) 原文/現代語訳はこちらから。

 

「竹取物語」~古代物語の世界
  当時伝承されていたいくつものお話(説話)を素材にして、かぐや姫の出生から始まり、五人の貴公子のプロポーズ、帝の召しに応じず月の都に帰っていく物語として書かれています。複数の伝承を咀嚼(そしゃく)解釈し独自の表現で構成していくという、才能あるストリー・テラーの存在なくしては書かれなかった作品といえます。
 

多弁に語るかぐや姫

 この年の春の初めころから物思いにふけるようになった姫は、まもなく月の都に帰らなければならないことを打ち明けなければならないのを、一日一日と先延ばしにしてきたのです。翁たちを悲しませたくないからです。しかし、どうしても帰らなければならないのですから、いつまでも隠しているわけにはいきません。いったん打ち明ける決心がついた姫は、心のうちに秘めていた思いを語り始めます。
 これまでの翁との対話は、翁が多弁に語ることが多かったのですが、ここでは、姫が主役となって自分の心情を語っています。数多くの出来事や体験をしてきた物語の現実が、自分の宿命を意を決して打ち明けるこの場面で、作者に姫にあふれるような言葉を語らせることになっているようです。伝奇という空想的・幻想的な物語ですが、後に成立した、自己表出性の強い傾向を持つ歌物語日記文学に通じる表現性を感じます。





  東宝映画「竹取物語」予告編

 配給:東宝  監督:市川崑

 


かぐや姫の嘆き 問題解答(解説)
 
問1 a[ しか ] (←接続助詞「」の接続は已然形。「き」の活用=【 せ/○/き/し/しか/○ 】。まだの人、今インプット!)

   b[  ] ←「こそ」の結びであることに気づく。「む」の活用は四段型。まだの人、今インプット!

   c[  ] ←接続助詞「」の接続は連用形。断定の「なり」の活用は形容動詞ナリ活用と同じ。まだの人、今インプット!

   d[  ] ←意志の助動詞「」は未然形接続。完了・強意の助動詞「ぬ」はナ変と同じ。まだの人、今インプット!

問2 お心をお乱しなさるだろうと〈恐れて〉お話ししないで黙ってばかりでいられようか(、いや、いられない)と思って、打ち明けてしまうのですよ
(「」は、ソウ・ソノヨウニの意の副詞。直前の「必ず心惑はしたまはむものぞと思ひて、今まで過ごしはべりつるなり」を受ける。「やは」は反語の係助詞で、直後に「あらむ」が省略されている。「はべり」は丁寧の補助動詞、マス・デス・ゴザイマスの意。「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形。「」は係助詞の文末の用法(終助詞という人もいる)で、告知する意。)

問3 やむをえずおいとましなければならないので
(「さらず」は、避けることができず・やむをえずの意の熟語。「まかり」は、行く・来の謙譲語、「」は強意(確述)の助動詞。「なむ」については、問1のDに同じ。「べけれ」は義務(「当然」でも良い)の助動詞「べし」の已然形。「べければ」で確定条件となり、〈…シ〉ナケレバナラナイノデ。)

問4(1)慣れ親しむ (2)きこゆ謙譲の補助動詞としては「奉る」「聞こゆ」「申す」が使われ、オ…申シ上ゲルと訳することが多い。「聞こゆ」「申す」は精神的活動に関する動詞に、「奉る」は身体的活動に関する動詞につくことが多い。のちに、「参らす」も用いられた。自分の習熟度に応じてインプット。)

問5 嘆かしがりけり
(「立ち別れなむことを(お別れしてしまうようなことを)」は「同じ心に嘆かしがりけり(翁夫婦と同じ気持ちで嘆き悲しんだ)」の連用修飾語となっている。問が「一文節で」なので解答のようになる。文節が分からない人は文法テキストで確認。)

a.Q

解答例…(「かの国」でわずかな時が、「この国」では長年になるほど、)「かの国」の時間の進行は、「この国」よりも著しくゆったりとして遅い。

(「かの国」で「片時〈わずかの時〉」ということでやってきたが、「この国」では「あまたの年を経ぬる〈多くの年を経てしまった〉」に着目してまとめます。読解力・思考力・表現力の国語の総合力が試されています。)

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