「ど
ドラマ
「ごちそうさん !」
~食べ物について
食品の偽装表示が問題になっている。そんな折、私はNHKの朝の連続ドラマ『ごちそうさん』を楽しんでいる。連続テレビ・ドラマを楽しむのはほんとうに久しぶりだ。
もちろん独特の人間ドラマが面白い。さらに、東京と大阪の味覚や料理の違い、東京の洋食屋と大阪の旧家の家庭のあり方の違い、そして、現代と大正という時代の違いなどなど興味がひかれることが多い。そして何よりもよく出来ている脚本、演出、役者の演技についついひきこまれて見せられてしまっている。
食べ物といえば、この秋久しぶりに長崎に帰省(きせい)して舌鼓(したづつみ)を打つことができた。長崎の食べ物には、まずは、ちゃんぽん・皿うどん、そして、トルコライス・ミルクセーキ・長崎おでん・角煮マン、さらにまた、一口香(いっこうこう)、からしレンコン、卓袱料理(しっぽくりょうり)などがありますが、口にしたことがあるのはいくつありますか。
そのなかで、大村寿司は、500年ほど前に起源のある、私の生まれ育った大村市に伝わる郷土料理です。木箱(もろぶた)に炊(た)きたての米飯を広げて魚の切り身やカマボコやシイタケなどの具材を挟(はさ)みこみ、さらにそれをはさむように飯や具を乗せた押し寿司の一種です。誕生日や節句などのめでたい時、また来客の饗応(きょうおう)にも出されていました。大村寿司といえば鮮やかな錦糸卵(きんしたまご)と赤い生姜(しょうが)の対比の色合いが思い浮かび、晴れやかでうきうきした気分になります。
また、カステラはこれも500年ほど前にポルトガル人によって長崎に伝えられたそうです。なんでも、ポルトガル語の「パオ・デ・カスティーリャ」が語源であり、「カスティーリャ地方のパン」の意味だそうです。さらに、カスティーリヤという地名はラテン語で「城」を意味する語(英語ではcastle)が由来で、城塞(じょうさい)が多い地方という意味だそうです。
カステラというと文明堂や福砂屋が有名ですし、おいしいですよね。私の住んでいる町には、カステラ職人が出している店があり、祝い事やお使い物(贈り物とも進物とも言う)に昔から利用しています。カステラは卵を材料にしていて栄養があるということで、病気見舞い用に使われていました。
戦後引き上げ後、私の一家は生活基盤がゼロの状態でとても苦しんでいましたが、父の姉(わたしにとっておば)が物心両面で支援してくれたそうです。そのおばが腎臓(じんぞう)を患(わずら)って、嬉野という温泉地の病院に入院していたのを見舞いに行きました。その時カステラを持っていたことを、なぜだか覚えています。その後間もなくしてそのおばは他界しました。カステラを目にすると、おばをめぐる思い出や見舞いに行ったときのようすを思い出してしまいます。
朝ドラ「ごちそうさん」を見ながら、生きることは食べることであり、食べることを大事にすることは「もの」や「こと」、そしてまわりの「ひと」を大事にすることなんだなあと思ったりします。
また、食べることは、単に空腹を満たしおいしいなどの快楽を得る行為ではなく、心を育(はぐく)み豊かにするのだなとも思ったりします。
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== 日本語教室外国人学習者向け会報掲載 2014/6 ==
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