荊軻~始皇帝暗殺(史記)もっと深くへ !



秦王暗殺序章

 燕の国の太子に(たん)という人があった。このままでは燕が秦に滅ぼされてしまうと心配し、秦王を暗殺することを計画した。刺客(暗殺者)として選ばれたのは、衛の人で、燕に移住していた荊軻(けいか)という人物であった。太子は身分の差を捨てて荊軻を厚く待遇し、大事を打ち明けたが、荊軻はそのへの義侠心から、その依頼を快く引き受けた。

 秦王暗殺の依頼を受けた荊軻は、用心深い秦王に謁見(えっけん)するための策を考えた。その策とは、一つが、燕でも最も肥沃(ひよく)な土地である督亢(とくごう)を差し出すこと。もう一つが、もとは秦の将軍で、秦王が提案した軍の少数精鋭化に対し諫(いまし)めたために、その怒りに触れ一族を処刑され、燕へ逃亡してきていた樊於期(はんおき)の首を差し出すこと。これをすれば秦王も喜んで荊軻に会うだろうとに提案するが、は領地割譲はともかく、自分たちを頼って逃げてきた人間を殺すことはできないと断った。しかし、の苦悩をおもんばかった荊軻は直接、樊於期に会い「褒美(ほうび)のかかっているあなたの首を手土産(てみやげ)に、私が秦王にうまく近づき殺すことができたならば、きっと(そなたの)無念も恥もそそぐことができるでしょう」と頼んだところ、樊於期は復讐のためにこれを承知して、自刎(じふん)し己の首を荊軻に与えた。は暗殺に使うための鋭い匕首(あいくち。音ではヒシュと訓む。)を天下に求め、ついに(秦王を暗殺するため、)伝説的な刀匠徐夫人の匕首を百金を出して手に入れた。




秦王暗殺あらすじ

 太子は鋭い匕首(あいくち)を手に入れ、これに毒をしみこませ、試し切りをさせるとその威力はすばらしい効き目であった。その匕首が荊軻(けいか)に与えられ、燕国の勇士秦舞陽(しんぶよう)を介添え役として秦王暗殺へ出立した。


 荊軻はとうてい生きて帰れないと決心する。太子や人々は白装束で見送った。易水(えきすい)のほとりまで来ると親友の高漸離(こうぜんり)は筑(ちく)を弾き、荊軻はこれに唱和して歌を作り、悲壮な思いでうたった。人々は涙を流し、二人は出立したのであった。


 荊軻らは秦に到着。荊軻は秦王の寵臣蒙嘉(もうか)に高価な贈り物をして燕王に謀反心が無いととりなしてもらい、手土産として樊於期(はんおき)の首と督亢(とくごう)の地圖を持参したことを告げる。秦王は大いに喜び、鄭重(ていちょう)に迎えた。ところが秦王の前に出た秦舞陽は威光に圧され震え上がる。


 秦王荊軻に督亢(とくごう)の地圖を持ってくるように言いつける。地図の中には匕首(あいくち)が隠されていた。秦王が地図を広げていくと、中から匕首が出てきた。荊軻はその匕首を取り秦王を刺そうとする。刀は届かず、秦王は驚いて逃げ惑う。荊軻は追い回す。衛兵を呼ぶには距離がありすぎる。すると侍医の夏無且(かむしょう)が手元の薬袋を荊軻めがけて投げつける。やっと剣を抜いた秦王荊軻の左股(ひだりもも)を斬る。荊軻はその場に倒れる。荊軻は匕首を秦王めがけて投げるが当たらなかった。ここについに秦王暗殺計画は失敗し、荊軻は側近によりとどめを刺されたのであった。


中華の義侠心

 掛けられた恩情には心から感謝して、人生意気に感じる義侠心の持ち主




始皇帝暗殺 英雄 荊軻
2011/07/19
幼い頃より秦の人質だった、燕の太子丹は、秦王政に恨みをいだく。 太子丹は始皇帝の暗殺を決意。刺客荊軻を太子丹は国賓の礼をもって迎えた。やがて、荊軻の始皇帝暗殺実行の時がくる。 http://www.chinasoft.co.jp/


荊軻(史記)始皇帝暗殺 原文/書き下し文/現代語訳はこちらへ。


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解答(解説)

問1aたちどころに(副詞的に使われた場合の訓読、頻出します。)

  bゆえんの(頻出する熟語。)

問2 ②ともにともにせん(「」は副詞的に直後の「」を修飾、ともニと訓む。「倶」は動詞と使用されていて、ともニスと訓む、ととらえます。)

問3 ①秦舞陽を副と為さしむ( AB→使役AをもつてB〈せ〉しむ、「令」はひらがなで。)

   ③未だ來たらざるに(「」は再読文字→未だ…ず 

   ④豈に意有らんや(「」はあニと訓み、疑問反語。「」はひらがなで書く。)

   ⑤何ぞ太子の遣はすや(「之」を倒置された「遣」の目的語ととらえ「何ぞ太子之を遣はすや」とも。)

   ⑥請ふ辭決せん(「請ふ…〈せ〉ん・よ」の願望…シテホシイ・シタイ・シテモイイカの意。「」は捨て字ととらえる。)


問1 ほとり

問2 目をいからすこと(「」はいかル・いからスと訓み、かっと目をむくこと。「瞋目」で、「目を瞋〈いから〉す」とか「しんもく〈ス〉」と訓む。)

問3 ①荊軻が秦舞陽を介添え役として、秦王の暗殺へ赴くこと。(26字)



問1aために  bすすみ(て)

問2 ①使ひをして以て大王に聞こえしむ使AB→使役AをしてB〈せ〉しむ、「使」はひらがなで。「聞」=述語、「大王」=補語ととらえる。)<br>

   ②唯だ大王之に命ぜよ(「命」→文脈から命令ととらえる。唯(修飾語)+大王(呼びかけ)+命(述語・サ変の命令形)+之(補語))

   ③未だ嘗て天子に見えず(「」は再読文字→未だ…ず。見=述語、天子=補語ととらえる。)



問1 a命令(文脈から)

問2 b立ち上がる  c  d侍臣・近臣

問3 ①立ちどころに拔くべからず(不(否定の返読文字)+可(可能の返読文字)+立(副詞的な修飾語)+拔(述語・動詞))

   ②詔召有るに非ずんば、上るを得ず(《「A、B」=Aに非ずんば、B〈セ〉ず》の仮定形の句法であることに気づく。)

   ③王劍を負へ(文脈から、「負」は命令、負へ。)

   ④中らず(「中」は動詞的には、あたルと訓む。)

   ⑤事の成らざる所以の者は,生きながら之を劫かし必ず約契を得て、以て太子に報ぜんと欲するを以てなり

(「事所以不成者」が主語、「以欲生劫之必得約契以報太子也」がその述語。文の構造・返読文字などを考える。)

問4 司馬遷 前漢


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