映画[HOKUSAI]~浮世絵師北斎の鮮烈な生きざま、田中 泯の存在感、目が離せない。

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 映画 

「HOKUSAI」

 ~浮世絵師北斎の鮮烈な生きざま 

 田中 泯の存在感、目が離せない。


葛飾北斎の壮絶な人生描く『HOKUSAI』新予告編
柳楽優弥&田中泯が熱演!

 三度目の緊急事態が解除され、映画館は午前一度だけの公演。お客さんはいつもより多い感じ。そして四度目の緊急事態が発出される。印象がなくなる前に感想などを。

四章の構成

 [壱の章]は、北斎が勝川春朗と名のっていた時代。蔦屋重三郎(つたやしげさぶろう こちらへ)という版元(絵や本の出版元)、売れっ子の絵師歌麿や、道楽で描いていると言うが独創的な絵が目を奪う写楽との出会い。
 描いた絵や主張が認められず破れかぶれになった北斎は、放浪の旅に出ます。

 江戸時代の町並み・建物・家具調度・着物・手周りの品々・絵を販売する店頭、そして遊郭の内部、しっかり時代考証がなされていると思われるもので、思わず見入ってしまいます


 [弐の巻]北斎は妻帯していて弟子も多く取っています。曲亭馬琴(きょくていばきん こちらへ)や柳亭種彦(りゅうていたねひこ こちら)との交流も興味深く見ることができます。浮世絵こちらへ)戯作(げさく こちらへ)が風俗を紊乱(びんらん)するとして幕府の締め付けが厳しくなり、妻のコトが出産しますが、北斎は暗い世の中になっていく将来を憂えて素直に喜べません。

 江戸期の文人たち、高校時代、文学史で覚えさせられたなと思い出す人もいるのでは。でも、映画館ではスマホでググれない… !

 幕府の弾圧、デフォルメ化されすぎと思いますが、エンタメとしてはこれでもいいのかな。隣の大国のこと、ふと思い浮かびました。


[参の巻]ここから北斎は田中泯(たなかみん こちらへ)が演じます。妻のコトに先立たれ、北斎は年老いました。そして脳卒中にかかり、筆は持てないと言われます。しかし、北斎は自らに鞭(むち)打って旅に出ます。そして若いころ独自の着想を得た駿河(?)の海にたどり着き、赤い富士を目にして「富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい こちらへ」を描くきっかけとなります。


[四の章]友人の柳亭種彦(りゅうていたねひこ)が四人の侍に囲まれ自決し、斬首される。それを知った北斎が描いたのは、種彦が息絶えるすさまじいさまの絵でした。

 北斎は九十歳を迎えようとしています。北斎は、あの海を思い浮かべ、波の絵を描き始めます。若いころの北斎との波の連作となります。

映画は映画館で観るもの ?

 ネタバレ風になりましたが、登場人物についてや全体の組み立てを知って観ると、いっそう楽しめるのではとも思います。
 さらに、この映画、やはり映画館で観るものかな富士の壮大な勇姿や海の波頭と崩れ落ちる波、この映像と音響はテレビ画面、ましてスマホでは体感できない‼


 演技・演出やストーリーの展開にメリハリが利いていて、利きすぎるとステレオタイプになる恐れもありますが、この映画は観る者をテンポよく映画の作品の世界に引き込んでいくものでした。

超個人的興味

 実は、個人的には後半に北斎を演じる田中泯(たなかみん)に興味を持っていました。予想通り一番存在感がありました。存在感があって少し腰が引ける人もいるのかな?とも思います。

 田中泯のパフォーマンスはyoutubeで観たことがありました。しばらく前に観たすこやかクラブ「パラダイスの朝に」こちらから)や小池博ブリッジプロジェクト「世界会議」こちらから)と同じように舞踏こちらから)は生き残り進化し続けているんだと改めて思わされました


[参考]
「田中泯 北信濃を踊る」
ダイジェスト映像
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