👩平安女流👩
~世界の文学史上特筆される存在
春は曙(枕草子)
水野ぷりんさん作
今から1000年以上前に清少納言(せいしょうなごん)によって書かれた、「春は曙」ではじまる「枕草子」は日本人は誰でも知っている古典随筆です。この随筆の夏とそれに続く秋については、次のようなことが述べられています。夏と秋の翻案(ほんあん)をします。
《夏は夜がよい。月が出ている夜はもちろんのこと、(月が出ていない)闇夜(やみよ)もまた、蛍(ほたる)が多く飛びかっている光景がよい。また、たった一匹や二匹が、かすかに光って飛んでいるのもよい。雨が降るのもおもむきがあってよい。
秋は夕暮れがよい。夕日が山の端(は)にとても近くなっているときに、烏(からす)が寝床(ねどこ)へ帰ろうとして、三羽四羽(さんわよんわ)、二羽三羽(にわさんわ)と飛び急いでいくのまでしみじみしたおもむきがある。ましてや雁(かり)などが隊列(たいれつ)を組んで飛んでいるのが、ごく小さく見えるのは、とてもおもむきがあってよい。日が落ちてから聞こえてくる、風の音(おと)や虫の鳴く音(ね)などは、言いようもなくなくすばらしい。》
清少納言があげた光景は、現在、近代化や都市化によって失われたものも多いが、それぞれの光景が鮮やかに思い浮かび、また、不思議となつかしい気持ちにもなります。
古典随筆の「枕草子」も日本人独自の感受性やものの見方や思考の組み立て方の原型になっているといえるでしょう。
『ブルタニカ国際大百科事典』(こちらを)で、世界史上女流の文学者は、ギリシャ時代にサッフォーという詩人が知られるが、以降「古代・中世を通してみるべき女流作家は出現せず」、19世紀になって、イギリスでブロンテ姉妹や G.エリオットらの小説家が登場することになるとされています。また、同事典で「日本の平安時代に『源氏物語』の紫式部をはじめ,清少納言,和泉式部そのほかの偉大な才女が輩出したことは特筆すべき文学現象である。」とされています。世界史上、古代に女性が本格的な文学作品を書き残しているのはこの日本だけであるということ、当の日本人もよく知らないのでは !!!
『枕草子』の第一段「春はあけぼの」の全文原文+逐語訳はこちらから。
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