演劇
「域地ーikichiー」
(第四回戯曲本舗プロデュース公演)
~下意識に閉じ込めている願望を形にして、考察を迫る~
お芝居は、おととしの秋以来ご無沙汰していた。歳をとり住地が不便ということもあり、決められた場所に決められた時間に到着し、一定の時間拘束されるのがおっくうになってきた。観劇は勿論、上演される劇場、その劇場へ至る街並みetc.へのワクワク感が持てなくなってきた。出演している柴山美保さんからLineがあり、昨日は夏の真っ盛り、気温は35度を超えていただろうか、多摩からほぼ東の反対側にある王子神谷(豊島)の〈シアター・バビロンの流れのほとりにて〉という劇場に出かけた。池袋西武デパート8Fの蕎麦「田中」で昼食、誘惑には逆らえず飲んでしまう。いつもの如く少し足元がおぼつかなくなる…スマホが池袋駅近くのバス停⇒バス乗車⇒豊島7丁目南バス停⇒〈シアター・バビロンの流れのほとりにて〉とナビゲートしてくれる。
結論から言えば、澱んでいた脳が掻き回されて、出かけてよかったかな。
開演の少し前、カシュクールワンピースタイプの衣装を着た女性のスローな動きのパフォーマンス。劇が進行するにつれて、山や自然の精霊のような存在だったんだとわかってくる。
舞台正面には樹齢数百年と思われる樹木の幹と前方に拡がる枝葉、客席後方から滝の落水する音。照明、装置、音響、細かくデザインされ、感覚を刺激する。
登場人物は4人。自殺するため入山してきた若い男、自然を愛する足を痛めた男の山行家、子供のため水を求めて山に入ってきた女(柴山美保さん)、人々の救済を願い自然の神に巡礼する女。そして、世間から逃れて古木の下の洞で暮らしている世捨て人の中年の男、ととらえていいのか?山から出ようとするが歩けど歩けどこの古木の下に戻ってしまう。
私たちの下意識に閉じ込められている願望…死、救済、ロマンチシズム、家族愛への渇望。それらを選び出し形にして、その実像や本質を考察し、それを観るものにも考察を迫るように作られているといえるのか。重量感…二十世紀的なテーマでありアプローチのようにも感じる。
ラスト、神を巡礼する女が、古木に引き釣りあげられ飲み込まれていくシーンで結末する。
いくつものアイディアで織り上げられた装置、こまやかに神経を配った音響と照明、かっちりした演出、役者の自然に近い音調で届いてくる発声、無駄のない身体表現。本格的でヘビーなお芝居だった。三谷幸喜風、または、コミックのコピペ風のお芝居(映画にも多すぎる)に食傷気味だったが、「域地」はむしろ新鮮なものに感じた。そして思った。IT技術であらゆることがバーチャルに体験できる現在、そして、近未来、目前で生の人間が演じる演劇はどういうものとして続いていくのだろうか、と。 2019 / 08/12
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