「戦国策」とは
「漁父の利」は、双方が争っているすきに、他の者が何の苦労もなく利益を収めることの意で、よく使われる故事です。
「戦国策」にある文章からの故事。「戦国策」とは、前漢末に劉向(りゅうきょう)の編。戦国時代諸国を遊説(ゆうぜい)した縦横家(じゅうおうか。意味はこちらを)の権謀術策(けんぼうじゅっさく。意味はこちらを)を、東周・西周・秦など十二か国の国別に集めたもの。周の元王から秦の始皇帝までの二百四十余年間にわたって、四百八十六章の話を収録しています。
暴動・動乱・戦乱が常であるユーラシア東部大陸で、権謀術策(けんぼうじゅっさく。意味はこちらを)を説くことを職業にしていた者たちがいたのは、いかにもChinaらしい。現在の共産党政権(こちらを)のDNAとして残存している中華の思想の一側面として、頭の片隅にとどめておきたい。
「漁夫の利」の本文/書き下し文/現代語訳はこちらへ。
中華のレトリック
この話では、蚌(ぼう。ドブ貝の一種。)⇒燕(えん)、鷸(いつ。シギの一種)⇒趙(ちょう)、漁者(ぎょしゃ)⇒秦(しん)にそれぞれたとえています。
趙が燕を攻撃しようとしていたことを、鷸(シギ)が蚌(ドブ貝)の肉をついばもうとしたことにたとえているわけです。趙の攻撃に対しては、当然燕も抵抗することとなります。二国が争っていると、その二国の国力は弱体化し、強国の秦が容易にその二国とも併呑(へいどん。一つに合わせて支配すること)する結果になることとなると言っているわけです。
蘇代は、燕攻撃を準備している趙の王惠王に、このたとえ話を使って、攻撃をやめさせようと説いたわけです。
この「漁夫の利」とおなじ意味で「鷸蚌(いつぼう)の争い」(こちらを)という成語があります。
現在も外交で「三戦」(こちらを)と言われる、言葉や言説による戦略戦術を巧みに使うのが中華の伝統であるようです。
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漁夫之利 解答(解説)
問1a( いま )・c( まさに )
b( 蘇代 )・d( 蚌 )
問2 且に燕を伐たんとす
(「且」は「且(まさ)に~(せ)んとす」と訓読する再読文字。漢文の基本知識です(こちらへ !)。)
問3(1)今日雨ふらず、明日雨ふらずんば、即ち死蚌有らん
(否定+仮定⇒「ずんば」とよむ。仮定は、ここでは文意から。)
(2)お前は死んでしまうぞ(直訳的な「死んだドブ貝があることになる」でも。)
(3)蚌(ドブ貝)が水気が無くなって干上(ひあ)がるから
問4(1)りょうしゃ、あいすつるをがえんぜず
(両者〈主語〉+不肯〈述語〉+相舎〈目的語〉。〈述語〉は否定の返読文字「不」+「肯」、〈目的語〉は修飾語「相」+被修飾語「舎」ととらえる !)
(2)蚌(ドブ貝)と鷸(シギ)はどちらも放そうとしなかった
問5 解答例…趙と燕が争っているに乗じてその両国とも自分のものにすること。
問6(1)解答例1…当事者が争っている間に、第三者が利益を横取りすること。(27字。)
解答例2…双方が争っているすきに、他の者が何の苦労もなく利益を収めること(32字。)
(2)鷸蚌(いつぼう)の争い
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