💥解読💥岩井克人「ホンモノのお金の作り方」

💥解読💥

岩井克人「ホンモノのお金の作り方」



★本格的に取り組もうと思う人向けです。

★プリントアウトするか、解答のみを紙に書くなどして取り組んでみてください。😄


全体は、「(前書きに当たる段)」と「1」「2」「3」「4」の段落とされています。教科書やコピー本文に書き入れましょう。

(a.b.c)⇒ 「a は序・段落、bは形式段落、 cは何文目」とします。


(前書きに当たる段)

💥設問💥

「ホンモノのおカネ」(序.1.1)とあるが、「おカネ」が「ホンモノ」であるとは、端的にはどういうことか。ごく短い一文で記しなさい。




💥解読💥

解答例 : 「モノ」(商品)が買えること。

 ↑  ↑  ↑  ↑

 難しい言い方をすると、「おカネ」と商品とが等価に交換できること。たとえば、「250円の貨幣」=おカネと「ハンバーガー1個」=商品が交換できること。「ホンモノのおカネ」でないなら交換できない、つまり、買えない、ということを言っているのです。


 「序」は一言でいうと、「ホンモノのおカネを作る極意は、ニセガネを作らないようにすること、ホンモノに似せようとしないことである。」ということです。😦


下の図は参考用です


1

💥設問💥

①この段落で、「ニセガネ」(序.1.2)の意味が明確に書かれている箇所を抜き出しなさい。



②「そのほか」(1.2.1)の「その」は何を指すか。



③『その意味でニセガネとは「似せ」ガネなのである』(1.3.3)とはどういうことか、本文に即してわかりやすく説明しなさい。



💥解読💥

解答例 : ホンモノの金銀ではないものがあたかもホンモノの金銀に見えるように細工されたもの(1.3.2)


佐土原藩が作ったニセの二分判金

     ↑  ↑  ↑

 指示語の指示内容は、直前、その直前…とさかのぼり、「こと」などを補うなどして指示語に代入、文意が通るか確認。ただし、要約しなければならなかったり、指示内容が指示語の後にあることもあり、そのケースが出題されることも知っておいてください。

 ここでは、同文直前にある「この佐土原藩の二分判金はニセの金貨としては最も精巧に作られたもの」を「その」に代入できる形にまとめる。


③解答例 : ニセガネとはホンモノの金銀ではないものがあたかも「ホンモノの金銀に見えるように」(1.3.2)、すなわち「似せよう」(1.3.3)として作られたものである。


 「1」をまとめると、「ニセガネを作るとは、ホンモノの金銀ではないものを可能な限りホンモノに似せようとする作業であり、まさにその意味でニセガネとは「似せ」ガネである。」となります。😗


2

💥設問💥

①「両替屋」(2.1.1)の仕事とはなにか。



②「この紙きれこそ、ニセガネならぬホンモノのおカネに変貌していく」(2.1.5)について、「この紙きれ」(=「預り手形」)はどのようにして「ホンモノのおカネに変貌」していくとされているのか。




③「ここに一つの逆説が作用している。」(2.3.1)とあるが、ここではどういう意味で「逆説」と言えるのか。説明しせよ。




💥解読💥

①解答例 : 「当時商取引に併用されていた金貨、銀貨及び小口の銭貨をその時その時の相場に基づてい交換をおこなう」(2.1.2)ことと、「その資力による信用と厳重に守られたその金倉の安全性を基に、人々の財産の保管」(2.1.2)を行うこと。


②解答例 : はじめは本来の支払い手段である金貨銀貨の単なる代わりであった預り手形が、現実の商取引においてあたかも支払い手段であるかのように使われて、究極的にそれ自身が金貨銀貨に変わって実際の支払い手段として通用するようになる。

  ↑  ↑  ↑  ↑

第2形式段落の前2/3をまとめてあります。


③解答例 : 「ホンモノのおカネ」と似ても似つかない「預り手形」が「ホンモノのおカネ」になることは一見真理に背いているように見えるが、「似ても似つかないことゆえに」(3.3.2)「ホンモノのおカネ」に「代わって」いくことに真理があるという意味で。

  ↑  ↑  ↑  ↑

 「逆説」とは、一見真理や常識に背いているように見えるが、実は真理を言い表している説の意、パラドックスともいう。「急がばまわれ ! 」(こちらを)のことわざが逆説を使ったもの。ここでは、ニセガネが可能な限りホンモノのおカネに見えるように作られることとは真逆に真理があるとしているわけです。


 「2」をまとめると、「江戸時代の両替屋は金貨銀貨の引換を保証する「預り手形」を発行したが、実はホンモノのおカネとしての金貨銀貨とは似ても似つかないこの紙切れが、本来の支払い手段であるはずの金貨銀貨の「代わり」として実際の支払い手段として流通し、なんと、それ自身がホンモノのおカネになってしまった」となります。😓


3

💥設問💥

①「その本来の用途」(3.1.1)とは何か。



②「金貨銀貨が、表示された価値そのものの担い手として実際の金銀内容量とは独立に流通」(3.1.2)しているとはどういうことか、わかりやすく説明せよ。





③「その時々のホンモノ」とあるが、「金貨銀貨」、「小切手やクレジット」にとっての「その時々のホンモノ」とはなにか。



④「ホンモノのおカネとは、その時々の「代わり」のおカネに対するその時々のホンモノでしかなく、aそれ自身もかつてはホンモノのおカネに対する単なる「代わり」にすぎなかったのである。すなわち、ホンモノの「代わり」がそれに「代わって」bそれ自身ホンモノになってしまうというこの逆説の作用こそ、太古から現在までホンモノのおカネというものを作り続けてきたのである。」(3.1.3・4)

a、b「それ自身」の「それ」とは、それぞれ何を指すのか。




⑤「この逆説とは逆」(3.2.1)とあるが、「この逆説」は「ホンモノの形而上学」(3.2.1)とはどういう点で逆であると言えるのか。




⑥「ホンモノの形而上学」(3.2.1)の「形而上学」とはどういう意味でそういわれているのか。



💥解読💥

装身具や祭礼器具に使われること。

②解答例 : 金貨銀貨は、その実際の金銀の内容量とは関係なく、その金貨銀貨に表示されている価値を持つものとして流通しているということ。

  ↑  ↑  ↑  ↑

 「表示された価値」とは、「一両」とか「20円」とか。現在は記念硬貨として金貨などが発行されることがあるが、支払いとしては使用されずコレクションとして所有されるのが普通。

明治貨幣3種
金貨(十円)・銀貨(一円)・銅貨(二銭)
金属の価値とは離れて、カッコ内の「価値」を持つものとして流通。

③解答 : 「金貨銀貨」は金や銀、「小切手やクレジット」は銀行券。

解答 : aは「その時々のホンモノ」、 bは『ホンモノの「代わり」』

  ↑  ↑  ↑  ↑

 指示語の指示内容は、直前、その直前…とさかのぼり、「こと」などを補うなどして指示語に代入、文意が通るか確認。ただし、要約しなければならなかったり、指示内容が指示語の後にあることもあり、そのケースが出題されることも知っておいてください。


⑤解答例 :絶対的なホンモノがあると考えるのではなく、ホンモノのおカネとはその時々の「代わり」のおカネに対するその時々のホンモノであるという点。


⑥解答例 :ニセガネ作りたちが「似せる」ことに意義を見出すのは、「ホンモノのおカネとは、その時々の『代わり』のおカネに対するその時々のホンモノでしかな」(3.1.3)いという考え方とは対極にある、絶対的なホンモノが存在するという、観念的な考え方であるという意味で。

  ↑  ↑  ↑  ↑

 「形而上学(けいじじょうがく)」とは、本来は「思惟や直観によって、物事の本質・存在といった根本原理を研究する観念的な学問」のこと。「形而上学」と対照されるのは唯物論実在論


 「3」は一言でいうと、「ホンモノのおカネとは、その時々の「代わり」のおカネに対するその時々のホンモノであり、ホンモノに似せるのではなく代わっていくことが、ホンモノのおカネを作る極意である。」と言うことができます。😃


4

💥設問💥

「ホンモノのおカネを作り出すあの逆説は見向きもしてくれない。」(4.1.2)のはなぜか。本文の主張に即して説明せよ。




💥解読💥

解答 :「ホンモノのおカネ」に代わりになる「預かり手形」を発行したとしても、「資力による信用と厳重に守られたその金蔵性」の背景がないから。

  ↑  ↑  ↑  ↑

 擬人法の言い方。現在の千円とか一万円などの銀行券が「ホンモノのおカネ」であるのも、国家という最高レベルの存在によって信用が保証されているから。でも、国家が揺らいでくると、おカネの信用も揺らぎ価値が衰退していくということもある。


 「4」は一言でいうと、「大きな資力と金蔵のないところには、ホンモノの代わりであったものがホンモノとなってしまうという「ホンモノのおカネを作る逆説」は見向きもしない。」ということです。😂


 😄「ホンモノのおカネの作り方」という興味を引くタイトルで、「貨幣(おカネ)」というものの存在の原理を明らかにしようとする文章ということになります。「貨幣(おカネ)」には絶対的なホンモノという実体はないという「貨幣(おカネ)」の本質、納得できましたか ? 😄


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