日本語の音数律~五音と七音の組み合わせは、なぜ心地よいの?

日本の詩歌~音数律( About syllabic meter (poetry) of Japanese poems )

 

大伴家持(おおとものやかもち)は718~785奈良時代の歌人。「万葉集(まんようしゅう)」で歌数が最も多く,その「万葉集」編纂者(へんさんしや)の一人と目される。繊細・優美な歌風で万葉末期を代表する歌人。「万葉集」はわが国に現存する最古の和歌集。


① 〈音数律=五音・七音〉について 

 日本の詩歌のもっとも古いものは「万葉集(まんようしゅう)」に見ることができます。古いものは今から少なくとも1300年以上昔に作られた詩歌です。その特徴の一つに、五音七音を組み合わせることによって詩歌がよまれていることです。この「五音と七音を組み合わせること」にはどのような意味や効果があるのでしょうか? 

 和歌のなかでもっとも親しまれた「短歌(たんか)」で考えます。前回のこのブログでつぎの短歌をとりあげました。

   世の中に たえて桜の なかりせば 春のこころは のどけからまし

 この短歌は、音数が『よのなかに(5音)/たえてさくらの(7音)/なかりせば(5音)/はるのこころは(7音)/のどけからまし(7音)』ということになります。31音からなるということで「三十一文字(古い日本語のよみで、ミソヒトモジ)」といいます。ミソヒトモジは短歌の別名でもあります。


 日本語は、1音節1拍で、基本語は2音1音からなるものが多い。
2音は「やま かわ みず とり はな」などで、1音は「が に と」などの助詞になります。2音1音の組み合わせになることが多いといえます。


 短歌の

よのなかに たえてさくらの なかりせば はるのこころは のどけからまし


○○○○○ ○○○○○○○ ○○○○○ ○○○○○○○ ○○○○○○○ とあらわすことにします。


 ところで、実際によまれるときには、切れ目・息つぎ休符(●)があります。しかも「5音」の句のあとにはひかく的長い息つぎがなされます。それを図示すると

○○○○○●●● ○○○○○○○● ○○○○○●●● ○○○○○○○● ○○○○○○○●
よのなかに    たえてさくらの  なかりせば    はるのこころは
のどけからまし

のようになります。

2音を1拍とすると

○○/○○/○●/●● ○○/○○/○○/○● ○○/○○/○●/●● ○○/○○/○○/○● ○○/○○/○○/○●
よのなか     たえてさくら  なかりせ     はるのこころ  のどけからま

ということになり、4拍×5ととらえることができます。これが和歌のリズム( About syllabic meter (poetry)  )となっています。


〈音数律=五音・七音の効果〉 について


 結局、4拍/4拍/4拍/4拍/4拍のリズムによって、各句の指示内容と各句の連関と短歌全体の指示内容が必然性があるかのように感じさせ、意味的・像的表現を強化することとなると考えられます。言語の音楽的効果によって、五音と七音の組み合わせは、心地よく感じると同時に、意味的・像的表現を強化するわけです。


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