源氏物語を読む/源氏の五十四巻(更級日記)をもっと、深くへ !  & 解答(解説)

 
更級日記とは

 作者は菅原孝標女(すがわらたかすえのむすめ)。『蜻蛉日記』の作者藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)は伯母にあたる。『源氏物語』成立後50年後位に成立。作者(菅原孝標女)が、その晩年(50代前半)に、少女時代の回想で始まり、成長して宮仕えをし、結婚し、親しい人との死別など女性としてたどってきたさまざまな経験を記しています。


源氏物語の世界に浸る

  ふさぎこむ私に母は物語を求めてくれる。気はまぎれるが、やはり「源氏物語」が読みたい。太秦(うずまさ)広隆寺に参詣(さんけい)した時は、「源氏物語」全巻をお見せくださいと祈ったが、その験(しるし)がない。ところが、ある日、田舎から上京したおばの所につかわされた。喜んでくれ、お土産に『源氏物語』五十余巻、その他一袋をいただいたのだった。天にものぼる心地である。

 第一巻より、他人を寄せ付けず読みふける。「源氏物語」を読んでいる時の充実感は、「后の位もものの数ではない。」という心境で、人物や言葉がそらに浮かんでくるほどになり、それを我ながら感動する。そのころ夢に僧が現れて「(女人に最重要の」『法華経』第五巻をはやく習え。」と言うが、気にしない。もっぱら、悲劇のヒロインの夕顔や浮舟になりたいと夢見るのだった。今思えば、あきれはてたことだ。





 なんとしても『源氏物語』全巻を読んでみたいと渇望する作者の心については、「いみじく心もとなく、ゆかしく」とあり、広隆寺に参詣した時も、誰もが来世の往生を祈るのに、「源氏物語全巻をお見せください。」と祈るのであった。

 『源氏物語』を手に入れた後はすっかり物語の世界にのめりこみ空想の世界に酔いしれていた。作者が『更級日記』を執筆する晩年(50代前半)にそのころを「あさまし」ともあきれたこととも回想している。抱いていた夢など夢でしかなく、家庭でも宮仕えでも現実は厳しかった。今は信仰にすがる晩年の作者には、少女時代の心は「あさまし」であった


 作者は菅原道真の子孫で学者の家柄に生まれた。兄の長能(ながとう)は著名な歌人で、母方の姪に『蜻蛉日記』の作者藤原道綱母がいる。学問と和歌に縁の深い家系である。

 作者は過保護な育てられ方をされたらしく、引込み思案な性格だったようで、結婚も遅れた。祐子内親王家に宮仕えに上がり、そのころ橘俊通の後妻となった。その夫も急死し孤独な生活となる。宮仕えにも失望し 、夫の死後、宗教にも没入しきれぬまま自己の半生を回顧して、この日記の筆をとるようになったようだ。

 今から960年ほど前に書かれた日記文学です。


『古のオタク「更級日記」』【#1推し-ICHIOSHI-】奥友沙絢


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解答(解説)

問1 

(← 一字の呼応の副詞は「」「」の二つ。ここでは、前後の文意から、…コトガデキナイとなり、「」と確定します。)

問2 C…ひどくじれったく、読みたく思われるので

   E…実用的なだけなものでは、よろしくないでしょう(気が利かないでしょう)

問3 D…完了(継続)の助動詞「り」の連体形
   G…

(←「いと清げなる僧の」の「」が、同格の格助詞。「いと清げなる僧」と「黄なる地の袈裟着たる」が同格で「が」を伴って、「来て」の主部となっている。同格の「」はデと訳し、「着たる」の後に「僧」を補える。)
   I…(←「こそ」の結びとなっているので已然形。「む」は四段型。)

問4 (ニ)

(←「長くなりなむ」の「なむ」は、ラ行四段動詞「なる」の連用形に接続しているので【完了・強意の助動詞「ぬ」の未然形「な」+推量の助動詞「む」】。(ニ)が「まかり」という連用形に接続しているので同用法と判断する。(イ)は、【ナ変動詞「往ぬ」の未然形「往な」の活用語尾の「な」+推量の助動詞「む」】。(ロ)は打消しの助動詞「ず」の未然形「ざら」に接続しているので、他への願望の終助詞。「思はざらなむ」は、思わないで欲しいという意味。(ハ)は係助詞、「ありける」など結びが省略されているケース。(ホ)は接続からの判別不可、文意から他への願望の終助詞、「寄せ」は未然形ということになる。この歌の全体は、打ち寄せる波よ、忘れ貝を打ち寄せて欲しい。私が恋しく思っている人を忘れることができるというその忘れ貝を岸辺に降りて拾おうと思うので、という意味。)

問5 解答例…年頃になったら、顔立ちもよく、髪も長くなり、夕顔や浮舟のように貴公子たちから寵愛されるだろうと思っていたこと。 (55字)


問6 菅原孝標女・平安時代・藤原道綱母・蜻蛉日記  


a.Q

解答例… 源氏物語を読む幸福感に比べれば、后の位も何とも思わないし、女人往生をかなえてくれる法華経第五巻を早く習えという夢のお告げも無視して物語の世界にふけっていること。 (80字)

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