かたはらいたきもの(枕草子 九十二段)もっと深くへ !


超訳マンガ百人一首物語第六十二首(清少納言)2020/12/08

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 《ある夜、清少納言のもとへやってきた大納言藤原行成(ゆきなり)は、しばらく話をしていましたが、「宮中に物忌みがあるから」と理由をつけて早々と帰ってしまいました。
翌朝、「鶏の鳴き声にせかされてしまって」と言い訳の文をよこした行成に、清少納言は「うそおっしゃい。中国の函谷関(かんこくかん)の故事のような、鶏の空鳴きでしょう」と答えます。

 「函谷関の故事」というのは、中国の史記にある孟嘗君(もうしょうくん)の話です。秦国に入って捕まった孟嘗君が逃げるとき、一番鶏が鳴くまで開かない函谷関の関所を、部下に鶏の鳴き真似をさせて開けさせたのでした。
清少納言は「どうせあなたの言い訳でしょう」と言いたかったのです。それに対して行成は        「関は関でも、あなたに逢いたい逢坂の関ですよ」と弁解します。
そこで歌われたのがこの歌です。「鶏の鳴き真似でごまかそうとも、この逢坂の関は絶対開きませんよ(あなたには絶対逢ってあげませんよ)」という意味です。》こちらから引用しました。


「枕草子」とは

 現在、私たちが小説や評論とよんでいるものが、昔から存在していたわけではない事情は、『かぐや姫のおいたち(竹取物語) もっと深くへ! 』で少し詳しく書きました。


 平安時代の初期(1200年ほど前)に、漢字を元にしてひらがな・カタカナが発明され、そうして初めて、私たちが日常使っている言葉で、心情表現や情景描写ができるようになっていったのです。このようにして、かな文字で書かれる物語という新しい文学に発展していきました。文学史的には、こうして、架空の人物や事件を題材にした〈作り物語〉(「竹取物語」など)と、当時の貴族社会で語られていた歌の詠まれた背景についての話を文字化した〈歌物語〉(伊勢物語)の二つが成立したとされています。

 さらに、見聞きしたことや、自然・人事についての感想・考え・評価などを自在に記す〈随筆〉として、千余年ほど前清少納言によって『枕草子』が書かれた。中宮定子(ちゅうぐうていし)に仕えた宮中生活の体験や、感性光る「ものづくし」を自在に著わした「をかし」の文学と言われている。『枕草子』も、日本人独自の感受性、ものの見方、思考の組み立て方の原型一つとなっているといえます。



三種の章段
 内容から三種の章段で分類されています。

類集(るいしゅう)的章段…「山は」「市は」や「すさまじきもの」「にくきもの」などの形で始まるもの。ものづくし

日記的(回想的・実録的)章段…特定の場所・時に清少納言が見聞きしたことなどを記録したもの。

随想的章段…自然や人事についての感想を書いたもの。


 「かたはらいたきもの」は、類集的章段になります。



「かたはらいたし」とは?
 現代語の「傍ら痛い」は、傍で見ていてとてもばかばかしく、こっけいに見えるという意味。
 古い日本語の「かたはらいたし」は、傍らで見たり聞いたりしていて、いたたまれないもの。そばで見ていて、気の毒だ、おかしい、みっともないなどと思っていても、それを口に出して言いにくい時の心持。当事者としては、いらいらし、はらはらする。自分の言動については、気恥ずかしい、きまりが悪い




 1000年前の人の文章、特に女性の文章が残されているのはこの日本だけ。その幸運を味わいながら読み味わいましょう。



解答/解説

問1 aまろうど、b打消しの助動詞「ず」の已然形、cかわいく思うものだから(「ままに」は、~ニマカセテ・ニツレテ・ノトオリニ・ノデ・ヤイナヤの意。)


問2①制止することもできないで>(「」は打ち消しの語と呼応して~デキナイの意となる副助詞、「」は打消して下に接続する接続助詞、ナイデの意の。)

  ④特別によくできたとも思われない


問3 本人が聞いているのを知らずその人のうわさをしゃべっていたことを、聞いていた本人が(自分の)使用人でさえ気まずい気持ちになる。まして身分ある人の場合はなおさらだ。

(「だに」は程度の軽いものをあげて重いものを類推させる副助詞。「使ふ人」をうわさする人ととることも可。)


問4 宿泊したその家のしもべ達が騒いでいるのを、客としてはたしなめるわけにもいかずいたたまれない場合。宿泊した家で当人は客らしく遠慮がちに振舞っているのに、従者たちがふざけていてはらはらする場合。

(「かたはらいたし」は、①そばで見聞きしていて気の毒だ・みっともない、②当事者としては、はらはらする・いたたまらない気持ち、いずれもそれを口に出しては言いにくい感情。)


問5 清少納言・随筆・平安時代中期・定子



advanced Q.


1 A(  )  B(  )  C(  )  D(  ) H(  )

(A…誰かが、下手なうえ調律もできていない琴をめいっぱいの音量で弾いている。→ウ     

 B…客が来ているのに、身内の聞かれたくない話を客に聞こえる声で話している例。→イ

 C…好意を持っている人が酔っ払って同じことしつこく言うが、注意するにもできない

   例。→イ

 D…その人がいるのに気づかずその人の噂話をしていて、その人がいるのに気づいたとき

   の例。→ア

 H…学問の大家の前で、学浅い者が知ったかぶりをしている例。→ウ )



2 親ばか (子がかわいくておろかなことをしていても自分では気づかない→親ばか。)




春はあけぼの(第一段)

 

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