梅の契り/継母なりし人は(更級日記)もっと深くへ !

 

『更級日記』とは

 作者は菅原孝標女(すがわらたかすえのむすめ)。『蜻蛉日記』の作者藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)は伯母にあたる。『源氏物語』成立して50年後位に書かれた。作者(菅原孝標の女)が、その晩年(50代前半)に、少女時代の回想で始まり、成長して宮仕えをし、結婚し、親しい人との死別など女性としてたどってきたさまざまな経験を記しています。



「継母(ままはは)」の最後の言葉

 「継母」が実父との夫婦仲がうまくいかなかった理由(a.Q解答例を参照してください)は、作者が後年考えたものでしょう。その「継母」に作者はよくなついていたようです。家を出ていく際、「この梅の花が咲くころ、ここへ来ましょう」と言い残していった。作者は悲しくて忍び音で泣いて恋しがっていた。やっと待ちに待った梅の花が咲いた。しかし、「継母」は来ることはなかった。


「継母(ままはは)」への手紙

 作者は、梅の枝を折って次の歌を添えた。

   たのめしを猶や待つべき霜がれし梅をも春は忘れざりけり

「おいでになるのをまだ待たなければならないのでしょうか。早くお会いしたいです。」純粋でひたむきな性格がうかがえますね。


 「継母」からの返歌。

   なほたのめ梅の立枝はちぎりおかぬ思ひのほかの人も訪ふなり

 「約束などしていないが、すばらしい男性が来訪することがあるでしょう。それを楽しみにしていてください。」。作者を失望させないようにして、希望をもって生きてほしいという気持ちがこめられた、大人らしく、みやびな返歌でした


 ロマンチックで抒情的な、短編小説…のようになっている?
 今から960年ほど前に書かれた日記文学です。



『古のオタク「更級日記」』【#1推し-ICHIOSHI-】奥友沙絢


梅の契り/継母なりし人は 問題へ


門出 解答/解説

問1 夫婦仲がうまくいかない様子で、(離婚して、この家から)よそに行くというので(「恨めしげなり」は、恨めしそうなようす・残念なようすが辞書上の意味。夫婦仲かしっくりいかない・うまくいかないと理解してよいと思います。)

問2 (梅の)木

(「」は「梅の木」と「いと大きなる」が同格であることを示し、「を」を伴って、後に省略されている例えば「指さして」を修飾すると考えます。梅の木…たいそう大きな<u>〈梅の〉木、と訳します。「つま近く」は「いと大きなる」修飾しています。)

問3① 早く梅の花が咲いて欲しいなあ

  ② (ロ) (ホ)

《この「なむ」は、他への願望の終助詞、活用語の未然形に接続。(イ)は、【ナ変動詞「往ぬ」の未然形「往な」の活用語尾の「な」+推量の助動詞「む」】。(ハ)は係助詞、「ありける」など結びが省略されているケース。(ニ)は「まかり」という連用形に接続しているので、【完了・強意の助動詞「ぬ」の未然形「な」+意志の助動詞「む」】。(ロ)が打消しの助動詞「ず」の未然形「ざら」に接続しているので、他への願望の終助詞。「思うはざらなむ」は、思わないで欲しい、の意。(ホ)は接続からの判別不可、文意から他への願望の終助詞、「寄せ」は未然形ということになる。この歌の全体は、打ち寄せる波よ、忘れ貝を打ち寄せて欲しい。私が恋しく思っている人を忘れることができるというその忘れ貝を岸辺に降りて拾おうと思うので、という意味。これは文意から判別する難しい問ですが、出題されるパターンです。》

問4 D…   E…

問5 菅原孝標女・平安時代・藤原道綱母・蜻蛉日記


a.Q

解答例…宮仕えをしていた人が、地方の地味な生活では予期しないことがいろとあったから。
(「世の中」には、男女や夫婦の仲という意味があります。「恨めしげなり」は、恨めしそうなようす・残念なようすが辞書上の意味。夫婦仲かしっくりいかない・うまくいかないと理解してもよいと思います。
 直前の「宮仕ヘせしがくだりしなれば、思ひしにあらぬことどもなどありて」に着目。高貴な方のお屋敷での華やかかつにぎやかな生活と、田舎での地味で退屈な生活二項対立でとらえて整理しましょう。)


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