東下り
(伊勢物語)
exercise
東下り(伊勢物語)exercise解答/解説
解答
問1 暗く 白く
問2aロ b(1)折句 (2)をみなへし
cことづける d京
e ニ fホ gハ jロ hロ iホ
問3① ロ
② 思いがけなくつらい目に遭うことよ
③ どうしていらっしゃるのですか
⑤ 名として持っているのなら
⑥ 無事でいるかどうか
問4 なれ つま はるばる
問5(1)「駿河なる宇津の山べの」が「うつつ」を導く序詞 (2)ハ
問6 (1)いと大きなる川あり (2)日も暮れぬ
問7 都にいる「女」を恋い慕う「男」の歌に、船にいる人々は同じ思いに心打
たれ、つらい気持ちを抑えかねたから。解説
問1 音便には、イ音便・ウ音便・促音便(っ)・撥音便(ん)の4種類があります。あいまいな人、文法テキストを開いてインプット。「筋トレ国語サイト」【用言】の問6に練習問題あります。
問2a 「居る」(ワ行上一)は、①座る・(木などに)とまる・住む・存在する ②…てじっとしている・ている、の意。aは①の座るの意で、イハニは②の意。ロ「いつも座っていらっしゃった」が正解になる。
b この歌では歌のほぼすべての修辞(表現技巧、レトリック)が使われているのでしっかり理解してください。サイト上の問題ももう一度確認。
d この時代の物語は、都の人が都に住む人を読者として書かれています。
e…「ほとり」に接続し、場所を意味する格助詞…デととらえる。 f…前の分節と後の分節を接続する助詞。…ノデ、順接の確定条件。 g…体言・連体形に接続し、「…に(助詞)あり」→断定の助動詞「なり」の連用形ととらえる、デ。j…連用形に接続し、「にき」「にけり」「にたり」→完了の助動詞「ぬ」の連用形ととらえる。
hiの「文の構成」は文節と文節の関係を言う。5種類あります。あいまいな人、文法テキストを開いてインプット。hは「都鳥なり」の省略形で、「これなむ」が主語。 i…「都鳥よ、」という呼びかけになっていて感動詞とともに独立と名づけています。
問3① 直前「身をえうなきものに思ひなして、京にはあらじ」に着目。「えうなき」は役に立たない・必要ではないの意。もっとも近いのはロ。
② 「すずろなり」は、なんとなく…だ、むやみだ、おもいがけない、など意志に関係なくことが進むさまことを言う語でinputしにくい。「見る」には、会う・試みる・体験する・世話をする・夫婦となるなど多様な意味で使われます。コンテクストで確定する。ここでは、「体験する」の意で、「遭う」とより現代語風に口語訳しています。
③ 「いかで」は、どうやって・どのようにして・どういうわけでの意の呼応の副詞。「います」はサ変(中古以後)で、「あり」「行く」「来」の尊敬語、いらっしゃるの意。「か」は係助詞、「いまする」が連体形で結びとなっている。
⑤ 「負ふ」は現代語と同じで「背負う」の意だが、「名に負ふ」で「名として持つ」という意味で使われていた。
⑥ 「あり」には、住む・暮らす・生活する以外に、生きている・無事でいるという意味がある。インプット。「や」は2つとも疑問の係助詞で、ここでは文末用法ー現代語と同じ使い方ーなので結びは関係ない。
問4 「縁語」はとらえるのが難しい。ここでは掛詞がらみなのでいっそう難しい。脚注などでもう一度確認とインプット!「筋トレ国語」サイトの問題も確認!
問6(1) 「川」は昔の人にとっては、現在のような橋があるわけではなく、氾濫して多くの被害をもたらしたり、そこを渡るにはさまざまの困難があったり、此岸と彼岸は違う世界とまで思うような地形だったのです。さらに、「すみだ川」は都の人にとっては、遥か遠くの東国からさらに道の奥(陸奥)へ入っていくシンボルにもなるのです。
(2) 夕暮れ時が淋しく、物悲しい気分にさせるのは、今も昔も人類共通の感覚のようです。
問7 直前の「男」の歌を耳にした結果なのは明らか。船の人々は、前文に「京に思ふ人なきにしもあらず(都に恋しく思う妻や恋人がいないわけではないのだ)」と書かれているように、「男」と同じようにそれぞれが都に妻や恋人を残してきている。「すみだ川」を前にして途方もなく遠いところへきてしまったと心細い思いをしているところに、「男」がまさに自分の思いそのもののような歌を詠んだので、それまで抑えていた気持ちを抑えきれなくなってみなが慟哭したということになります。
※ サイトでも実践問題でも出題しませんでしたが、2段落の「修行者合ひたり」の箇所、出題可能性があります。「修行者に合ひたり」ではなく、「修行者」が主語で「合ひたり」が述語です。「修行者が合ひたり」という言い方によって、「男」の一行が偶然知人の「修行者」に出会ったことになります(古格の言い方)。チェック!
あと、「五月」の読み、サツキも。※
advanced Q.1 Ⅱ「皆人、乾飯の上に涙落として、ほとびにけり」の「ほとびにけり」とは、何がどうなったのか。また、Ⅱはどういうことを意図した表現なのか説明しなさい。
乾飯(携帯に便利なように乾した飯)が(水をかける必要がないほど)ふやけてしまった。そこにいるみんなの落とした涙のため、ちょうど良い具合にやわらかくなったと、誇張表現によってしゃれ・ユーモアを意図している。
(ここではまだ余裕を感じさせるが、次第にシリアスになっていくことにも気づいて。)
advanced
Q.2 Ⅲ「うつつにも夢にも人にあはぬなりけり」で、「男」は「誰」にどういう気持ちを伝えようとしているのか。「男」の理屈が分かるように解説しなさい。
現実に会えないのは遠い旅先なのでいたし方がないが、夢の中でも会えないのはあなたがわたしのことをすっかり忘れたからだ。わたしがこんなにもせつなく恋しく思っているのにという理屈で、遠い旅先にあってもあなたへの深い思慕は変わることはありませんということ。
(相手の心変わりに怨みを述べる=自分の変わらぬ深い思慕を伝える→恋文のお約束であることをインプット。今「駿河なる宇津の山べ」にいることを伝えつつ、その地の名にことよせて深い思慕を伝える高度な歌ということになるんです。)
advanced
Q.3 Ⅳ「時知らぬ山は富士の嶺いつとてか鹿の子まだらに雪の降るらむ」の「時知らぬ」とは、どういうことについての表現なのか説明しなさい。
5月の下旬なのに、雪がたいそう白く降り積もっていること。
(旧暦4、5、6月は夏であることは古典の基本教養。夏に積雪している山など、都(京都)の人には驚きのこと。)
advanced
Q.4 Ⅴ「船こぞりて泣きにけり」について、そうなった理由を説明しなさい。
都にいる「女」を恋い慕う「男」の歌に、船にいる人々は同じ思いに心打たれ、つらい気持ちを抑えかねたから。
(直前の「男」の歌を耳にした結果なのは明らかだよね。船の人々は、前文に「京に思ふ人なきにしもあらず(都に恋しく思う妻や恋人がいないわけではないのだ)」と書かれているように、「男」と同じようにそれぞれが都に妻や恋人を残してきている。「すみだ川」を前にして途方もなく遠いところへきてしまったと心細い思いをしているところに、「男」がまさに自分の思いそのもののような歌を詠んだので、それまで抑えていた気持ちを抑えきれなくなってみなが慟哭したということになります。優れた歌が、自分の本当の気持ちを形にしてくれたと思うことがあるよね。旅愁のクライマックスとなる有名な場面です。)
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