花山天皇の退位(大鏡)exercise

 花山天皇の退位 

(大鏡) 

 exercise 


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花山天皇の退位(大鏡)exercise 解答/解説

解答

問1 あかかり

問2 b御覧じけるを 契りて 御文 参る

問3 わずか二年で退位したのは健康に問題があったからと考えるのが普通だが、退位後二十二年もご存命であったことは不自然な印象を与え、退位の事情に読者の興味をひこうとする意図。

問4(1) 「我を~けれ。    (2)皇位 (帝位)  (3)

問5 「わたり」は自動詞「わたる」の連用形で、「神璽・宝剣」が既に「春宮の御方」のものになっている事情を曖昧にする「粟田殿」の意図が読み取れる。また、「わたし」は他動詞の「わたす」の連用形で、「神璽・宝剣」は実は「粟田殿」自身が渡したことを読者(聞き手)に暴露する、作者(語り手)の意図が読み取れる。

問6⑤ 「申さ」は謙譲の動詞で、作者(語り手)が「花山院の天皇」に敬意を表す。「せ」は尊敬の助動詞「す」の連用形、「給ひ」は尊敬の補助動詞、「せ給ひ」で最高敬語の用法となり、作者(語り手)が「粟田殿」に敬意を示すことになる。

 ⑥ 「こ」と訓むと「なむ」は他への願望の終助詞であり、「出て来てほしい」の意味になる。「き」と訓むと、「なむ」は強意(完了)の助動詞「ぬ」の未然形と推量の助動詞「む」の終止形となり、「(きっと)出てくるだろう」の意味になる。

問7(1)なんとしても帝を出家させようとする意図。 (二〇字)

  (2)さわがし申し給ひける

問8⑧ 「花山院の天皇」とご一緒に出家することとなったと事情をお話し申し上げて

  ⑨ もしかして、むりやり誰かが(「粟田殿」=道兼を)出家させ申しあげるかもしれない

問9(1)な・よ [別解] は  (2)恐ろしさよ

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解説

問1 花山帝が花山寺に出かけることを逡巡している理由は、「顕証にこそありけれ。いかがすべからむ。」

「さやけき影を、まばゆくおぼしめしつるほどに、月の顔にむら雲のかかりて、少し暗がりゆきければ…歩み出でさせ給ふ」から、月の明かりを気にしているからと分かる。よって、「あかし」となるが、「けれ」に接続するので連用形「あかかり」が解答。形容詞の活用、まだの人、インプットしてください。

問2b…「御覧じける」を修飾。

  e…「契りて」を修飾。【 修飾―被修飾 】の関係、理解してください。

  c…格助詞「」の同格の用法。「弘徽殿の女御の御文」と「日ごろ破り残して御身も放たず御覧じけるを」が同じ資格で「おぼしめし出でて」の連用修飾語となっているので、「を」の直前に「御文」を補える。「が」にも同用法があり。

  d…「参る」「まうづ」(参上スルまかる」「まかづ」(退出スル)を改めてインプットしてください。

問3 在位期間の短さ(2年)に比べて、退位後長く(22年)存命していたことに奇異の念を持たせ、その裏話に興味を引こうとしている。つまり、病弱が理由で退位したのではないなら、どういう事情があったのだろうか…?と。なお、存命中は譲位しない現在のあり方とは異なっていた。

問4②(1)「あはれなることは」とは、ここでは、しみじみと(気の毒に思われ)感慨深いことは、の意。帝がだまされていたことに気づく箇所、28字以内という条件から、『「我をば、はかるなりけり。」とてこそ、泣かせ給ひけれ。』(26字)。

   (2)「下る」は、位を退く意でも用いられる。

   (3)「六月二十二日…御出家入道せさせ給うへりし」から。出家=退位となり、二十二日が正解。

問5③ 他動詞とは、他への働きかけを示す(…を~する)動詞をいう。自動詞とは、その動作・作用が他には及ばない動詞をいう。「起く」(自動詞)と「起こす」(他動詞)、「移る」(自動詞)と「移す」(他動詞)のように活用が異なるもの、「立つ」のように四段活用で自動詞、下二段活用で他動詞となるものがあり、カ行四段活用「開く」は同じ活用で自動詞でも他動詞でも用いられる。

     ここでは、花山帝をだまして、ひそかに皇位の印である「神璽・宝剣」を「春宮」に移し譲位させる陰謀が暴露されている。「粟田殿」は「神璽・宝剣」が「わたる」(移っていく)と自動詞を使って曖昧に述べ、作者(語り手)は「粟田殿」達が計画的にしくんだものであることを、他動詞「わたす」(移す)を使って明確にしている

問6 敬語の用法は、まず、種類とその種類による敬意の方向誰から誰へ敬意を表すものか)をしっかり理解してください。特に、謙譲語は要注意!

   誰から  地の文→作者から

        会話文・手紙文→話し手から・書き手から

誰へ   尊敬語→動作主へ

        謙譲語→行為の受け手へ

        丁寧語→読み手・聞き手


「なむ」の識別  よく出題されます。まだの人、インプット!

  


 連用形 +なむ➡ 強意の助動詞「ぬ」の未然形「な」+推量意志の助動詞「む」

                (キット)~ダロウ・ヨウ

                       

 

 未然形 +なむ 終助詞、他への願望の「なむ」

                 ~テホシイ

    ※ 未然形と連用形が同形の語についている場合、文意で判断する。このケースが出題されることが多い。

  

文末が連体形で結ばれる  強意の係助詞「なむ」

     ※ 結びが省略される場合があるので注意。このケースが出題されることが多い。

問7(1)花山帝の出家の望みがかなわなくなることを心から心配していると見せかける演技

  (2)月明かりを気にして、花山寺にいくことを逡巡している帝をせきたてている(「さわがし」)箇所。

 

問8 かく」の指示内容が指示語より前に書いていないケースです。しかも、後に書いてあることから、文脈に沿うようまとめなければなりません。ひごろ、よく御弟子にて候はむと契りて、すかし申し給ひけむ」から、「粟田殿」も帝とともに出家するということになります。

 

」は疑問の係助詞で、結びは奉る(連体形)。「もしかして、無理やりに人がなし申し上げるのではないか」が直訳。「なす」とは、「粟田殿」を出家させることとなる。

問9(1)詠嘆の終助詞は、「か・かな・な・よ・や」。「は」は本来は係助詞だが、文末で終助詞的用法(=詠嘆)として使われることがある。

  (2)最後の段落、(神の血筋の)帝をだまして陥れたことへ「恐ろしさよ」と、作者(語り手)は藤原摂関家のやり口に憤り非難していることになる。

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