時平と道真/時平の深慮
大鏡
exercise
時平と道真/時平の深慮 exercise 解答/解説
一
解答
問1 a ハ c ア
問2 d こじとみ g みずいじん j みす
問3 b エ e イ h ア k エ
問4 i イ l ア n エ
問5 f イ m オ
問6(1)美麗ことのほかにて
(2)帝としめし合わせわざと禁制を破り罪に服し、世の見せしめとすることによって、過差を改めようとしたため。(50字)
問7 ②禁制を破った華美な服装の時平は即刻退出せよということ。
③ 世の過差
問8(1)左大臣
(2)本院
解説
問1a「大和魂」とは、は「漢才〈かんざえ〉」の対義語となる。「漢才」とは漢詩文についての才能、学問や教養の才能と考えてよい。ここで「大和魂」とは、時平が帝と共謀して贅沢の流行を抑えることができた、その実践的実用的手腕を評するもの。c「過差」とは、分を過ぎたこと・華美・贅沢の意。なじみの薄い熟語だが文脈から推し量ることができる。
問2 《略》
問3b「したたむ」は、整理する・きちんとまとめる・治めるの意、ここでは取り決める・取り締まる。
h「あやし」は、「怪し」の系列→不思議だ・変だ・奇妙だ、「賎し」の系列→見苦しい・身分が低い。k「勘当」は、罪を勘(かんが)え、法に当てること。罰すること・とがめ・おしかりの意、ここでは「不興を蒙ること」=主君や長上の機嫌をそこなうこと。親子や主従の関係を絶つの意もある。
問4i…「鎖(さ)す」(サ四動)の未然「鎖せ」に接続→使役・尊敬の助動詞「す」の連用、ここでは使役。l…「会ふ」(ハ四動)の未然「会は」に接続→使役・尊敬の助動詞「す」の連用、ここでは最高敬語の「せ給ふ」の用法。n…「合わせ」で一語ととらえる。サ下ニの動詞「合わす」の未然形の活用語尾。
問5f…「恐縮して承って」の意で、「承る」は謙譲語。文意から、語り手世継から帝に敬意を表すととらえる。
m…「ないないに(話を)よく承ったところ」の意。語り手世継から話をしてくれた人に敬意を表すととらえる。
問6 「禁制」=ある行為をさしとめること。「キリスト教の信教を禁制する」のように使われる。
(1)「ことのほかにめでたきをして」=とりわけ立派なのを身につけて。後にある帝の言葉の「美麗ことのほかにて」と対応。
(2)2・3段落の要約になります。帝が世間にはびこった華美の風潮を抑えようと方策に苦慮していたとき、時平は一計を案じ、帝と示し合わせて、時平自身が帝から華美を咎められて謹慎するという芝居をやってのけて、贅沢の風潮をしずめえた。
問7②…「しかしか」は、現代語の「かくかくしかじか」と同じ。こうこう。
③…「さてばかりぞしづまらむ」は、そういうにしておさまるだろうの意。帝と時平が心を合わせて華美の風潮を抑制しようとしたこと。「四字の語句で」という問。
問8(1) 冒頭に「大臣」とあるが、正確には帝の言葉にある「左大臣」、「右大臣」の上位。
(2) 時平が謹慎した場所、3段落の冒頭にある「本院」。
二
解答
問1 a 菅原の大臣
b 給ひ c 申し f 奉る i のたまひ
問2 d ウ g イ
問3 こらえることがおできにならなかったそうだ
問4 ウ
問5 強引になさることを、どうしてお止めできようか(、できるはずがない)
問6 笑いをこらえようとするから。 (14字)
問7 どうして私にご遠慮なさらないはずがあろうか(、いや、ご遠慮なさるに違いない)。
問8 (雷神になった)道真が公人として、(清涼殿に)落雷させては朝廷の秩序を乱し帝の威光に刃向かうこととなると憚ったこと。
問9(1)侍り
(2)けり
解説
問1 菅原道真は死後、京都の北野に神として祭られたので「北野」とよばれた。
b…文意から、語り手が道真に敬意を表す尊敬の補助動詞となり、「給ふ」の連用形「給ひ」が正解。
c…文意から、「言ふ」の謙譲語「申す」、連用形「申し」が正解。語り手が道真に敬意を表す。
f…文意から、「さしあげる」の意の謙譲語「奉る」、終止形で「奉る」が正解。語り手が時平に敬意を表す。
i…文意から、「言ふ」の尊敬語「のたまふ」、連用形「のたまひ」が正解。語り手が時平に敬意を表す。
e…重要古語。 h…文意から、時平が「左大臣」、道真が次位の「右大臣」。
問2d…直前に『なにがしの史が、「ことにも侍らず。おのれ、かまへて、かの御ことをとどめ侍らむ。」』とあるのに着目。
g…満足に口も利けないくらいおかしさに耐えられず、道真に仕事を任せた場面。
問3 「え」は後に打ち消しの語(ここでは「ざり」)を伴って、~デキナイの意となる呼応の副助詞。「念ず」は、我慢スルの意のサ変動。「させ給は」最高敬語、~ナサルの意。
問4 「さすがに」は、ソウハイッテモの意の副詞、直接には「道理に反したご処置とはいっても」ということになる。「やむごとなし」は、高貴だの意の形容詞。選択肢の中では、ウが正解となる。
問5 「とどめむ」などの省略。「せちに」は形容動詞「せちなり」の連用形、ここでは「強引に」の意。
問6 文頭の「もののをかしさをぞ、え念ぜさせ給はざりける。笑ひたたせ給ひぬれば、すこぶることも乱れけるとか。」、そして、「史」が放屁したところ『大臣、文もえ取らず、手わななきて、やがて笑ひて、「今日は術なし。右大臣に任せ申す。」とだに言ひやり給はざりければ』とたどって、簡潔(一五字以内)にまとめる。
問7 「さらで」は、ソウデハナクテの意の接続詞。「我にはところ置き給ふ」=「自分には遠慮なさる」が指示内容。「べき」は当然の助動詞「べし」の連体形。「いかで(副詞 ドウシテ)」、「か(係助詞 反語)」→ドウシテ~カ。イヤ~ナイのパターン。
問8 落雷させなかったのは、道長が生前時平より下位だったから遠慮したのではなく、公人として朝廷の秩序を乱しては王威(天皇の権威)にはむかうことなるからと、道理の道筋(理非)をお示しになったということ。
問9(1)地の文に2つある「侍り」は世継が聞き手の繁樹に敬意を表す丁寧語。
(2) 過去の助動詞は「けり」と「き」の2語のみ。「けり」は間接体験の過去、タ(トイウ)。「き」は直接体験の過去、タ。「けり」で「人から聞いた話として語られている」ことが示されている。
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