富嶽百景(太宰治)1/2 exercise

 太宰治 

 富嶽百景 1/2 

 exercise 


  

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富嶽百景(太宰治) 1/2 exercise

解答

問1 a 慶祝  b 飾  c 疾駆  d 繰  e 額縁

   f 遊覧  g 路傍  h なげし  i ふもと  j つぶや

   e 街道 (2字)  f 要所 /かなめ(2/3字)  g あわてる (4字)

問2① f 鋭角

② 秀抜の、すらと高い山 (10字)

③ 完全の頼もしさ (7字)

④ 三年まえの

⑤ 仙遊

⑥ 注文どおり

⑦ イ  ⑩ イ  ⑪ 

⑧ 御坂峠から見た富士 (9字)

⑨ あんな俗な山、見たくもない (13字)

問3 Ⅰ あまりに型どおりの風景なので、我々が日常富士に抱く通俗的なイメージを目の前に突きつけられたような気がしたから。

  Ⅱ 老婆の説明を通して、そこに広がっているであろう富士の情景が想像できただけでなく、そこに客への心づくしと富士を誇りに思う気持ちがあふれていて、心洗われたから。

  Ⅲ 井伏氏の発言を機に、富士の写真から視線を戻すのにかこつけて「娘さん」の顔を見ることができ、それをきっかけに結婚を決意することができたから。

  Ⅳ 「御坂の富士」を否定した前言を撤回するのは照れくさいので、体裁を取り繕ってポーズをとる心理。

  Ⅴ 巨大な富士に対して、ささやかながらもけなげに立ち向かっている月見草が、孤高で反俗的な生き方を象徴しているように思われたから。

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解説

問1 漢字をないがしろにしないでね。確実に得点できるジャンルだよ。だから漢字の平常テストは地道にやってね。そして、定期考査の勉強はまず漢字から始めよう。それもただ漢字を覚えるのではなく、前後のコンテクスト(文脈)・内容を把握しなが進めてね。高校を卒業したら書き取りテストなど誰もやってくれません。高校までの蓄積が一生の漢字筋力となります。

問2①  富士の「頂角」が話題にされています。「たいていの絵の富士は、  1  であるけれども、実際の富士は、鈍角鈍角、のろくさと広がり」と辿ると、①は「鈍角」の対義語となることが分かる。

  の段落は、「絵の富士」と「実際の富士」を比較対照して語られています。「そのような俗な宣伝」とは、絵画などでデフォルメされた富士のあり方を言っています。「頂が、細く、高く、華奢である」「秀抜の、すらと高い山」が候補となる。字数制限から、「秀抜の、すらと高い山」が正解。

  「十国峠から見た富士」の高さから好ましい印象を感じて、「げらげら笑った」。その印象を、「諸君が、もし恋人と逢って、逢ったとたんに、恋人がげらげら笑い出したら恋人は、君に逢って、君の完全の頼もしさを、全身に浴びている」とアナロジー(類似的)なものとして語られている。

④ 「小さい、真っ白い三角が、地平線にちょこんと出ていて左のほうに、肩が傾い心細く、船尾のほうからだんだん沈没しかけてゆく軍艦の姿に似ている途方に暮れたひとりで、がぶがぶ酒のんだ。一睡もせず、酒のんだアパートの便所金網張られた四角い窓小さく、真っ白で、左のほうにちょっと傾いて暗い便所の中に立ちつくし、窓の金網撫でながら、じめじめ泣いて」と富士・心理・場面・行為などがないまぜになって、みじめで孤独で破滅的な心境が暗に語られています。その引き金となったことになります。

  ⑤ 「わたし」に着目。「仙遊」とは、ここでは俗世間から離れて、本来の自分を取り戻したい、仕事に集中したいというような意味で使われています。「思いをあらたにする覚悟で、私は、かばん一つさげて旅に出た」のコンテクストで語られています。

  ⑥ 「おあつらいむき」の「あつらえる」とは、注文して作らせるという意味。「おあつらいむき」とは、ここでは、まるで注文して作らせたように(通俗的なイメージに)ぴったり一致しているということ。

  ⑦〈富士を眺めに来た〉と〈霧に閉ざされて見ることができない〉をつなぐ接続語。「あいにく」とは、期待はずれで都合に悪いさまの意。「折あしく」。

  ほかの乗客は富士を「眺めては、やあ、とか、まあ、とか間抜けた嘆声を発して、車内はひとしきり、ざわめいた。けれども、私のとなりの御隠居は、他の遊覧客と違って、富士には一瞥も与えず、  ⑩  富士と反対側の、山路に沿った断崖をじっと見つめて」と二項対立

  ⑪「三千七百七十八メートルの富士の山」と「月見草」のニ項対立。その「月見草」の「立派に相対峙しけなげにすっくと立っていた」というあり方に通じる表現と考えます。「みじんも揺るがない」は慣用的表現でもあります。

  ⑧ 直前にある「御坂の茶屋の二階」から見る富士。解答は、「井伏氏は、」で始まる段落にある「ここから見た富士」を下敷きにしています。

  ⑨ 「変哲もない」とは、取り立てて言うべきこともなく平凡だと否定的に評価する言葉。直後の「間抜けた嘆声を発して」にも「私」の富士への否定的なニュアンスが反映されている。

 問3Ⅰ 「まるで、風呂屋のペンキ画だ。芝居の書き割りだ。どうにも注文どおりの景色」と感じ、「私」は、「好かないばかりか、軽蔑さえしたひとめ見て、狼狽し、顔を赤らめた」と言われている。「風呂屋のペンキ画だ。芝居の書き割り」は、ワンパターン・型どおり・通俗的の具体例。我々のうちに存在する、「私」が嫌悪するもの。隠していたい恥部を晒されたような心理と共通するともいえます。

Ⅱ 「気の毒がり富士の大きい写真を持ち出し懸命に注釈する」茶店の老婆に何を感じたのだろうかと考え、まとめます。客への気持ちと、その前提になる富士を誇りに思っている気持ちの2点。

  Ⅲ 「私は、娘さんの顔を見なかったそれを見とどけ、また、ゆっくりからだを捻じ戻すとき、娘さんを、ちらと見た。きめた。多少の困難があっても、この人と結婚したいものだと思った」をふまえて、ありがたいと思った理由を考え、まとめます。

  Ⅳ 「私が、かねがね、こんな富士は俗でだめだ、と教えていた」が、眼前の積雪した富士を認めざるをえなかった。前言を否定せずに、前言と矛盾することも認める理屈で体裁を取り繕う心理です。

Ⅴ 老婆は「他の遊覧客と違って、富士には一瞥も与えず」と富士のような俗なるものを否定し、路傍にささやかに咲く月見草に注目していると「私」は解釈する。その「月見草」が「三千七百七十八メートルの富士の山と、立派に相対峙し、みじんもゆるがず」「金剛力(仏法を守護する仁王のような強力な力を感じさせる)草」のようにも見え、「けなげにすくっと立って」いるようにも見えると語られています。

   富士  = 巨大、かつ、俗なるもの

        

   月見草 = ささやか、かつ、反俗なるもの

  二項対立で語られています。

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富嶽百景(太宰治) 2/2 問題/exercise


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