💥解読💥
谷崎潤一郎「陰翳礼讃」
★本格的に取り組もうと思う人向けです。
★プリントアウトするか、解答のみを紙に書くなどして取り組んでみてください。
【本文】 本文の前半を「A」、後半を「B」とします。また、前半は24文で、後半は16文で書かれています。あらかじめ、前半・後半のそれぞれの各文の冒頭に順に算用数字を書き入れてください。(カウント違っています😅こちらでやって😥)
A
1 京都に「Wわらんじや」と
2いつからこう
3で、折角それ
4「Wわらんじや」の
5が、それを一層
6そしてわれわれの
7友人サバルワル
8われわれはその
9事実、「闇」を
10今日では白漆
11はでな蒔絵
12古の工藝家が
13つまり金蒔絵は
14そして、あのピカピカ
15もしあの陰鬱
16まことにそれは、
17けだし食器とし
18私は、吸い物椀
19それは生れたての
20吸い物椀に今も
21第一、蓋を取った
22漆器の椀の
23人は、その椀の中
24その瞬間の心持ち、………云えなくはない。
B
1 私は、吸い物椀
2茶人が湯のたぎる
3日本の料理は
4そうしてそれは、
5かつて漱石先生は
6玉(ぎょく)のように
7クリームなどはあれに
8だがその羊羹の
9人はあの冷たく滑か
10けだし料理の色あい
11たとえばわれわれが
12私は或る茶会に
13その外醤油など
14第一飯にしてからが、
15あの、炊きたての
16かく考えて来ると、………関係にあることを知るのである。
💥設問💥
A
① 漆器と「闇」との関係はどう考えられているか。80~100字で簡潔にまとめてみよう。
②蒔絵(まきえ)で金色が贅沢(ぜいたく)に使われるのは、どのような効果を考えてのこととしていますか。100字を越えないようにして簡潔にまとめてみよう。
①吸い物椀(わん)の魅力をどのように説明しているか、Aの「漆器(しっき)」についての記述もふまえて、100字を越えないようにしてまとめてみよう(吸い物は本来漆器でだされるものです)。
②「羊羹(ようかん)」にはどんな美を見出しているのか、筆者の視覚、触覚その他の感覚がどのように働きかけられているかに注目して、100~120字の一文ででまとめてみよう。
③「われわれの料理が常に陰翳を基調とし、闇と云うものと切っても切れない関係にある」(B.16)ものとして、他に何が挙げられているか、書き出してみよう。
④ここでは、結局、「闇」であることで、どういう効果を及ぼすと考えられるか。60字を越えない一文でまとめてみよう。
💥解読💥
A
① 解答例 : 漆器の食器としての美しさは、電灯ではなく蠟燭や燭台のように、明るくないところで明らかになる。つまり、「闇」が、漆器の存在に欠かせないものと見ている。「闇」あっての漆器としている。(89字)
↑ ↑ ↑ ↑
「行燈式の電灯」(A.1&A4)への消極的な評価。「燭台」(A.1&A3 &A5)、「蝋燭(ろうそく)」(A.1&A4)、「日本の漆器の美しさは、そう云うぼんやりした薄明りの中に置いてこそ、始めてほんとうに発揮される」(A.3)、『「闇」を条件に入れなければ漆器の美しさは考えられない』(A.9)をマークしながらたどってみてください。
②解答例 : 暗い光線が豪華絢爛な模様の大半を隠してしまうが、かえって、それが闇の中に時々浮かび出る。また、灯火を反射する加減によって、何とも知れない美しさをかもしだす。その効果を計算したもの。(90字)
↑ ↑ ↑ ↑
「金色を贅沢(ぜいたく)に使ったりしたのも、それが闇に浮かび出る工合や、燈火を反射する加減を考慮したものと察せられる」(A.12)、「豪華絢爛(けんらん)な模様の大半を闇に隠してしまっているのが、云い知れぬ餘情を催(もよお)す」(A.13)とありますね。
B
①解答例 : 吸い物椀を前にして、三昧境(ざんまいきょう)に惹き入れられる、と言う。それは、椀の肌合い、色合い、立ちのぼる湯気、掌(てのひら)に伝わる触感などが、渾然(こんぜん)として、陰翳を基調としたえも言われぬ「美」を作り出している。(91字)
↑ ↑ ↑ ↑
「…漆器は手ざわりが軽く、柔かで、耳につく程の音を立てない。私は、吸い物椀を手に持った時の、掌が受ける汁の重みの感覚と、生あたゝかい温味(ぬくみ)とを何よりも好む。」(A.17)「そこから湯気(ゆげ)が立ち昇りつゝあることを知り、その湯気が運ぶ匂に依って口に啣(ふく)む前にぼんやり味わいを豫覚する」(A.23)「椀が微(あす)かに耳の奥へ沁むようにジイと鳴っている」(B.1)「三昧境に惹(ひ)き入れられる」(B.1)とたどって、明るくないところで吸い物をいただく時の漆器の魅力がどう語られているか、読み込んで消化してまとめます。
②解答例 : 玉のように半透明に曇った肌が、奥の方まで日の光を吸い取って夢見るごときほの明るさを含んでい、その冷たく滑らかなものを口にふくむとき、あたかも室内の暗黒が一個の甘い塊になって下の先で融けるのを感じ、味に異様な深みが添わる。(110字)
↑ ↑ ↑ ↑
「玉のように半透明に曇った肌が、奥の方まで日の光りを吸い取って夢みる如(ごと)きはの明るさをふくんでいる感じ、あの色あいの深さ」(B、6)と「人はあの冷たく滑かなものを口中にふくむ時、あたかも室内の暗黒が一箇の甘い塊になって舌の先で融けるのを感じ、ほんとうはそう旨(うま)くない羊羹でも、味に異様な深みが添わるように思う。」(B.9)に着目できましたか。これを解答の形になるようまとめます。
③ 赤味噌、醤油、白味噌、豆腐、蒲鉾、とろろ汁、白身の刺身、飯
④解答例 : 「闇」によって見る力が抑えられることによって、聴覚・触覚・嗅覚・味覚などがより鋭敏にはたらくことになるという効果。(57字)
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たとえば、蒔絵(まきえ)などをほどしたピカピカ光るもの、ケバケバしくみえるものも、まわりを「闇」にすることによって、言い知れぬ余情を感じさせるなどとしるされています。そのほかの例をみて、『「闇」であるあることで』及ぼされる効果は共通していると言えます。
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