💥解読💥安部公房「赤い繭」

💥解読💥

安部公房「赤い繭」


「徳島新聞デジタル」(こちら)から転載

★本格的に取り組もうと思う人向けです。

★プリントアウトするか、解答のみを紙に書くなどして取り組んでみてください😄


 全体を四つの段落でとらえます。さらに、それぞれの段落は以下の形式段落からなります。教科書やコピー本文に書き入れましょう。

第1段落… 日が暮れかかる。

     1つの形式段落

第2段落… 電柱にもたれて…

     1~13の形式段落

第3段落… では公園のベンチは…

     1~5の形式段落

第4段落… おや、だれだ、…

     1~6の形式段落 

  ※( a.b.c)→ aは段落、b は段落内の形式段落、cは形式段落内の何文目。


第1段落

💥設問💥

①「家と家との間の狭い割れ目」(1.1.3)とは端的には何か、漢字2字で記しなさい。さらに、そういう言い方をしている理由はどういうことと推察されるか。



💥解読💥

①「家と家との間の狭い割れ目」(1.1.3)とは端的には何か、2字で記しなさい。さらに、そういう言い方になっている理由はどういうことと推察されるか。

 路地 (←人家の間の細い道路)

解答例 自分の家を探してさまよい続けている「おれ」は家に強い関心が向いていて、そういう「おれ」には、家と家との間を通る路地は割れ目にしか見えないから。

段落要点夕暮れ時、〈おれ〉は帰るべき〈家〉を探し続けている


第2段落

💥設問💥

①「兄弟、やすもうよ。」(2.1.2)とは、わかりやすくいうとどういうことを意味するのか、具体的に記しなさい。



②「半開きの窓」(2.4.1)から、「女」のどういう気持ちが読み取れるか。



③「希望の風」(2.4.2)とは、ここで「おれ」が感じた「希望」は具体的にはどのようなものか。



④「女の顔が急にこわばる」(2.5.2)とあるが、そうなったのはどうしてか。



⑤「おれが誰であるのか、そんなことはこの際問題ではない」(2.6.3)とあるが、「おれ」にとって「問題」とはどういうことか。



⑥「おれは少しやけ気味になって」(2.6.4)とあるが、「おれ」がそうなったのはなぜか。



⑦「女の顔がおびえ」(2.8.1)たのはなぜか。



⑧「女の顔が壁に変わっ」(2.12.1)たのは、どういう意思の表示になるのか。



💥解読💥

①「兄弟、やすもうよ。」(2.1.2)とは、わかりやすくいうとどういうことを意味するのか、具体的に記しなさい。

解答例 首をくくって楽になろうということ。(「死ねば、苦しい現実から逃れられるぞという誘惑」なども)

②「半開きの窓」(2.4.1)から、「女」のどういう気持ちが読み取れるか。

解答例 突然の訪問者を警戒する気持ち。

③「希望の風」とは、ここで「おれ」が感じた「希望」は具体的にはどのようなものか。

解答例 目の前にあるこの家が自分の「家」であるかもしれない、という希望。

④「女の顔が急にこわばる」とあるが、そうなったのはどうしてか。

解答例 見知らぬ男が突然やってきて、「ここは私の家ではなかったでしょうか?」などと、常識はずれの質問をするので(驚き怖れた気持ちから)。

⑤「おれが誰であるのか、そんなことはこの際問題ではない」(2.6.3)とあるが、「おれ」にとって「問題」とはどういうことか。

解答例 自分の家を見つけること。さらに、目の前の家(「女」の住んでいるの家)が、自分の家かどうかを確かめること。

⑥「おれは少しやけ気味になって」(2.6.4)とあるが、「おれ」がそうなったのはなぜか。

解答例 「女」が「おれ」が抱える問題をまるで分ろうとしないし、そんな「女」に自分の立場をどう説明していいのかわからなくて、ついつい怒りやいらだちを感じてしまったから。

⑦「女の顔がおびえ」(2.8.1)たのはなぜか。

解答例 「こちらが私の家でないとお考えなら、それを証明していただきたい」と、先ほどにも増して理不尽かつ常軌を逸した「おれ」の言動に不安と恐怖をつのらせたから。

⑧「女の顔が壁に変わっ」(2.12.1)たのは、どういう意思の表示になるのか。

解答例 もうこれ以上「おれ」と会話を続けたくない、という意思の表示。

 ↑  ↑  ↑  ↑

 暗喩

ヒューム管

段落要点①〈おれ〉は、「縄」で自死することで、帰ることができる家がない絶望から逃れることができるよという甘い誘惑を拒否します。②〈おれ〉は通りかかった家の住人の女に、この家は自分の家ではなかったかと詰問します。女は〈おれ〉を拒絶します。だれかのものであることが〈おれ〉のものではない理由になることが理解できないと考えるのです。③以前、だれのものでもないと見える工事現場などのヒューム管を〈おれ〉の家だと錯覚していたことがあったが、そのヒューム管はだれかのものになりつつあるものだった。


第3段落

💥設問💥

①「棍棒をもった彼」(3.1.3)とは、どういう意味を持つ人物として登場させられているのか。



②「法律の門」「地下室」(3.2.3)とは、それぞれどのようなものと考えられるか。



③「 aそれ以外のところで足をとめれば、 bそれがどこであろうとそれだけでおまえは罪を犯したことになるのだ。」(3.2.4)

 a 、bの「それ」はそれぞれ何を指すのか。



④「さまよえるユダヤ人」(3.3.1)は、どういう点で「おれ」と似ているのか。




💥解読💥

①「棍棒をもった彼」とは、どういう意味を持つ人物として登場させられているのか。

解答例 「街」の秩序を守る役目を持った存在であり、「街」の法律を執行する権利をもった人物。

②「法律の門」「地下室」(3.2.3)とは、それぞれどのようなものと考えられるか。

解答例 「法律の門」は法律による裁きが行われる場、「地下室」は罪を犯した者が送り込まれて閉じ込められる場所と考えられる。

  ↑  ↑  ↑  ↑

 端的に言うと、いわゆる「法律の門」は裁判所、「地下室」は刑務所であるが、ここでは、それらの本質を際立たせるためにむき出しの言い方をしたもの。

③「 aそれ以外のところで足をとめれば、 bそれがどこであろうとそれだけでおまえは罪を犯したことになるのだ。」(3.2.4)

 a 、bの「それ」はそれぞれ何を指すのか。

 aは「地下室」を、bは「足を止めた場所」を指す。

  ↑  ↑  ↑  ↑

 指示語のその指示内容は、直前、その直前…とさかのぼり、「こと」などを補うなどして指示語に代入、文意が通るか確認。ただし、要約しなければならなかったり、指示内容が指示語の後にあることもあり、そのケースが出題されることも知っておいてください。

 ここでは、a は直前にある罪を犯した者が行くことになる「地下室」、bは直前「それ以外の所で足を止めれば」に着目し、解答となる言い方にする。

④「さまよえるユダヤ人」(3.3.1)は、どういう点で「おれ」と似ているのか。

解答例 故郷と安息を失い、永遠に地上をさまようという運命にある点。

  ↑  ↑  ↑  ↑

 「欧州伝説で、刑場へ引かれるキリストを侮辱した罰として、死ぬこともできず、永遠世界をさまようというユダヤ人ゲーテワーズワースの詩にも登場する。永遠のユダヤ人。

13世紀にヨーロッパで伝説が広まり始めた神話上の不死の男である。元々の伝説は、磔刑(たっけい)に向かう途中のイエスを罵倒し、その後、再臨まで地上を歩き続けるように呪われたユダヤ人である。」(こちらを)



段落要点〈おれ〉は公園のベンチを家代わりにしたことがあったが、棍棒を持った彼から追い立てられた。みんなのものはだれのものでもないので〈おれ〉が利用することは許さないし、そのルールに従わないなら地下室に放り込むぞというのだ。〈おれ〉は日が暮れかかる中、追い詰められるように〈おれ〉の家を探し続けます。


第4段落

💥設問💥

①「首つりの縄なら、そうあわてるなよ」(4.1.2)とは、わかりやすく言うと「おれ」のどういう気持ちを言うものか。



②「こいつ」(4.1.5)とは、具体的にはどういう事態を指しているのか。



③「しだいに体が傾き、地面と直角に体を支えていられなくなった」(4.1.7)のはなぜか、説明しなさい。



④「もうこれ以上、一歩も歩けない。」(4.3.1)のはなぜか、説明しなさい。


⑤「おれは消滅した。」(4.3.6)とあるが、「おれ」の体が分解していった過程を、下に従って順に記しなさい。

  左足→(    )→(   )→(   )→(   )→( 両手·頭 )

⑥「これでやっと休める」(4.5.1)と思ったのはなぜか。



⑦「これだけは確実にだれからも妨げられないおれの家だ。」の「これ」は何をさすのか、20字以上30字以内で記しなさい。句読点・記号も1字とカウントする。


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⑧「だが、家が出来ても、今度は帰ってゆくおれがいない。」(4.5.4)の「帰ってゆくおれがいない」のはどうしてか。



⑨「彼の息子の玩具箱に移された」(4.6.6)とあるが、「繭になったおれ」(4.6.4)がどういう存在になったことの暗喩と考えられるか。


 


💥解読💥

①「首つりの縄なら、そうあわてるなよ」(4.1.2)とは、わかりやすく言うと「おれ」のどういう気持ちを言うものか。

解答例 「おれ」はいまだに「家」を手に入れてはいないし、「家」のない理由も見つかっていないのだから、まだ首をくくって死ぬわけにはいかないという気持ち。

  ↑  ↑  ↑  ↑

 3段落終わりに「おれの家がない理由が吞み込めないので、首もつれない。」とある。

②「こいつ」(4.1.5)とは、具体的にはどういう事態を指しているのか。

解答例 「おれ」の「靴の破れ目」から「ねばりけのある絹糸」が出ていて、引っぱると、その「糸」が「いくらでもずるずる伸びてくる」という事態。

  ↑  ↑  ↑  ↑

 直前の「つまんで、引っ張ると、その端は靴の割れ目の中にあって、いくらでもずるずるのびてくる」とあるのをまとめる。

③「しだいに体が傾き、地面と直角に体を支えていられなくなった」(4.1.7)のはなぜか、説明しなさい。

解答例 「おれ」の足がほぐれてできた「糸」を「おれ」がたぐりよせたため、「おれ」の片足が短くなっていたから。

  ↑  ↑  ↑  ↑

 脚が蚕(かいこ)の繭(まゆ)状態になっているという、超現実 !

④「もうこれ以上、一歩も歩けない。」(4.3.1)のはなぜか、説明しなさい。

解答例 「おれ」の片足がほぐれて短くなっていたから。

⑤「おれは消滅した。」(4.3.6)とあるが、「おれ」の体が分解していった過程を、下に従って順に記しなさい。

 左足→( 右足 )→(  )→(  )→(  )→( 両手·頭 )

⑥「これでやっと休める」(4.5.1)と思ったのはなぜか。

解答例 自分の体からできた繭を、だれからも妨げられない自分の家だと思ったから。

  ↑  ↑  ↑  ↑

 「後に大きな空っぽの繭が残った。/ああ、これでやっと休めるのだ。…これだけは確実に誰からも妨げられないおれの家だ。」(4.4.1&4.5.3)を踏まえてまとめる。

⑦「これだけは確実にだれからも妨げられないおれの家だ。」の「これ」は何をさすのか、20字以上30字以内で記しなさい。句読点・記号も1字とカウントする。

解答例 「おれ」の体がほどけてできた糸で作られた大きな繭。(25字)

⑧「だが、家が出来ても、今度は帰ってゆくおれがいない。」(4.5.4)の「帰ってゆくおれがいない」のはどうしてか。

解答例 「おれ」の体(「おれ」という存在)は糸となり分解し、完全に消滅したから。家に帰るはずの「おれ」は分解し、「繭」になってしまったから。

⑨「彼の息子の玩具箱に移された」(4.6.6)とあるが、「繭になったおれ」(4.6.4)がどういう存在になったことの暗喩と考えられるか。

解答例 自ら考え行動することができない存在。

  ↑  ↑  ↑  ↑

 「彼」は赤い繭が珍しく、「息子」の玩具となると考えた。「玩具(おもちゃ)」は慰みのためにもてあそばれる人や物の比喩表現として使われることが多いが、「解答例」は自ら思考しない行動しないものの暗喩と解釈した例。



段落要点〙〈おれ〉は絹糸のようにほぐれていく自分の身体に直面し、そして、次第に消滅していきます。あとに大きな空っぽの〈赤い繭〉が残りました。その〈繭〉は誰からも妨げられない〈おれ〉の家となりますが、そこへ帰っていく〈おれ〉自身は存在しないのです。その〈赤い繭〉は、それを見つけた彼(駅員 o r 警官 ?)に拾われて息子の玩具とされることになるのです。


安部公房「赤い繭」~「ここはわたしの家ではなかったでしょうか ? 」 で、この作品のテーマにせまりましょう。こちらです。


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