『源氏物語』とは
源氏物語は、今から1000年余前(平安時代中期)、藤原道長の娘である中宮彰子(しょう
し)に仕える紫式部によって書かれた。先行する伝記物語(「竹取物語」など)・歌物語(「伊勢物語」など)・日記文学(「蜻蛉日記」など)の表現史的蓄積の上に、このような高度な表現を達成することができたといわれる物語文学。
四代の帝(みかど)の七十四年間にわたって、五百名にものぼる登場人物を見事に描き分けて壮麗な虚構の世界を展開。
四宮(藤壺)の入内
桐壺の更衣とその母君の逝去(せいきょ)、若宮の臣籍降下と語られてきた、桐壺の更衣にかかわる一連の事件は一段落しました。
溺愛していた桐壺の更衣に先立たれ、桐壺の帝は悲しみの淵に沈んでいました。そんな時、先の帝の第四皇女が桐壺の更衣に似ているという話を聞き、入内(じゅだい)を懇望します。皇女の母君はしぶっていましたが、その母君も亡くなり、帝の懇望を受け入内なさいました。この方を藤壺の宮と申し上げます。宮は帝のご寵愛(ちょうあい)を受けますが、源氏の君もこの宮が亡き母君の面影に似ていると聞き、宮を慕わしく思います。帝のおとりなしで、源氏の君はますます宮に心を寄せるようになります。
世人は、その美しさから、源氏の君を「光の君」、宮を「輝く日の宮」と並べ称しました。十一歳の美少年と十六歳の美少女ということになります。
源氏の君の宮への好意は、母を慕う気持ちと同時に、異性に対する思慕の情が秘められているようです。藤壺の宮は、父君桐壺の帝の正妻であり、継母であることを忘れてはいけません。
この二人の男女がこれからどのような運命をたどることになるのか…好奇心を駆り立てるようにして、いったん筆がおかれます。
『源氏物語』の受容について
話題はそれますが、70年余前敗戦した日本は戦勝国から戦争を始めた罪深い国家という烙印(らくいん)を押され、特に大陸・半島国家では反日を煽(あお)ることによって統治を強化したり、外交カードとして利用してきているという経緯があります。
さらに、国内でも「罪深い国」日本のスタンスで論じ、大陸・半島国家の利益を代弁擁護することが進歩的かつ良心的であるかのような言論やジャーナリズムがいまだに大手を振っています。同じく、日本の伝統や文化の優れた点を述べることを反動として非難する風潮も続いてきました。最近は、その反動なのか歯の浮くような日本賛美も見られますが…?
私たちは先人が残してくれた優れた文化伝統を、先入見なしに理解しなければならないのではないでしょうか。私たちはどこから来たのかを正しく知り、どこへ向かっていけばよいのかを知るためにも。
いずれにせよ、「源氏物語」は、さまざまな意味で世界に類がない文学作品である(こちらを)といえよるでしょう。
輝く日の宮 1/2 問題解答(解説)
問1 aないしのすけ(「てんじ」も可。後宮を司る官名。) b似る(思われる・思い出される・似ているの「おぼゆ」。) c不思議だ
問2 帝のお相手としてふさわしい女官たち(原義は、「しかるべき人々」。帝の周辺の人々が、お気持ちを慰めるべく相当な美人たちを推薦した。)
問3 帝が母后に姫君を入内させるように丁重に申し入れなさった。
問4 「参ら」は作者が帝に敬意を表す謙譲語。「奉り」は作者が「后の宮の姫宮」に敬意を表す謙譲語。「給へ」は作者が「侍ふ人びと、御後見たち、御兄の兵部卿の親王など」に敬意を表す尊敬語。(「給へ」は、特に「御兄の兵部卿の親王」を意識。)
問5(1)え(後に打消しの表現、ここでは「ね」、を伴って…ヨウトシテモデキナイの意となる「え」。)
(2)他の女房や更衣たちもさげすみ申し上げることがお出来にならないので
(3)藤壺の宮が前の后の姫君であるというすばらしい出自であったから。
問6 平安 紫式部 彰子 藤原道長
a.Q
解答例…作者の、帝からのご寵愛があれほど深くなければ、人に憎まれることもなかったのに(、ぐあいが悪いことにご寵愛が深かった)という気持ち。
(帝の桐壺の更衣を愛するお心があいにくと深かったのであるよ、ということ。形容動詞の「あいにくなり」は、「あいにくだ」「意地が悪い」「都合が悪い」の意。ここでは、ご寵愛が深くなければ、周囲の人たちに憎まれることもないのに、具合が悪いことにご寵愛が深かったという心持。「し」は過去の助動詞「き」の連体形。「ぞ」は強意の係助詞。「かし」は、念を押して意味を強める終助詞。)
輝く日の宮 2/2 問題解答(解説)
問1 とりどりなれ(最後の一文にある。それぞれ優劣がつかないさまなのでという文意から、確定条件となる「已然形+ば」ととらえます。)
問2 ① え ③ な
(呼応(陳述)の副詞とは、現代語の「たぶん…だろう」の「たぶん」のように、「だろう」という推量に呼応して用いられる副詞。古語では、「いかが」「いかで」「をさをさ」「ゆめ」など。文意から考えます。①は「え…打消し」→デキナイ、③は「な…そ」→〇〇〇テハイケナイ)
問3 ② とりどりに ④ 似げなから ⑥ うつくしげなる
(「うちつけなり」は、あっという間だ・軽率だの意。ここでは該当するカ所はない。各語が何形に接続するかに注意。)
問4 「聞こえ」は作者が藤壺の宮へ、「給へ」は作者が源氏の君へ敬意を表す。
問5 平安 紫式部 彰子 藤原道長
advanced Q.
解答例…憎い桐壺の更衣の産んだ親王(みこ)であるという、源氏の君への以前からの憎さが、ふふ再びよみがえって、藤壺に対する反感から、再び蘇ったということ、
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