陰翳礼讃(谷崎潤一郎) exercise


 谷崎潤一郎 

 陰翳礼讃 

 exercise 

 

 

陰翳礼讃 exercise1 解答例/解説
解答例
問1a   g   i 
  b   e 考慮
  c いにしえ  d ぜいたく  f けんらん  h げんさい

問2漆器 (2字)

問3① 行燈式の電灯の光と燭台の蝋燭の光を

  ② 明るい所で一度にぱっとその全体を見るのではなく、暗い所でいろいろの部分がときどき少しずつ灯火を反射して闇に浮き出、模様の大半を闇に隠していて云い知れぬ餘情を催し、人を瞑想に誘い込むような効果。

  ③ 夜の闇の中で灯明の灯火の穂がゆらめき、それがまるで脈を打っている生き物のように感じられるようす。

  ⑤ 漆器に描かれた金や貝などの模様が、蝋燭や灯明の光を反射させて畳の上に幾すじもの小川や池水のような模様を描き出し、そのゆらめくさまが部屋全体に怪しい光の夢の世界を現出させ、夜の闇があたかも蒔絵のように感じられる様子。


解説
問1 《 略 》

問2 指示語の指示内容は、直前、その直前…とさかのぼり、「こと」などを補うなどして指示語に代入、文意が通るか確認。ただし、要約しなければならなかったり、指示内容が指示語の後にあることもあり、そのケースが出題されることも知っておく。ここでは、「それは」は「織り出す」の主語となっている。前文にある「漆器」となる。

問3① 前前文からの『燭台に替えて貰ったが、その時私が感じたのは、日本の漆器の美しさは、そう云うぼんやりした薄明りの中に置いてこそ、始めてほんとうに発揮されると云うことであった。「わらんじや」の座敷と云うのは四畳半ぐらいの小じんまりした茶席であって、床柱や天井なども黒光りに光っているから、行燈式の電燈でも勿論暗い感じがする。が、それを一層暗い燭台に改めて、その穂のゆらゆらとまたゝく蔭にある膳や椀を視詰めていると、それらの塗り物の沼のような深さと厚みとを持ったつやが、全く今までとは違った魅力を帯び出して来る』と文脈を辿ってみます。

  ② 「具体的」には、「つまり金蒔絵は明るい所で一度にぱっとその全体を見るものではなく、暗い所でいろいろの部分がときどき少しづつ底光りするのを見るように出来ているのであって、豪華絢爛な模様の大半を闇に隠してしまっているのが、云い知れぬ餘情を催すのである。そして、あのピカピカ光る肌のつやも、暗い所に置いてみると、それがともし火の穂のゆらめきを映し、静かな部屋にもおりおり風のおとずれのあることを教えて、そゞろに人を瞑想に誘い込む。」に着目。

  ③ 「脈搏」とは、血液を送り出す圧力の変動のこと。「その穂のゆらゆらとまたたく」「ともし火の穂のゆらめき」「その灯のはためき」の暗喩表現。夜の闇の中で灯火がゆらゆら揺れているさまが生き物のように感じられるということ。

  ⑤ 「夜そのものに蒔絵をしたような」という直喩をとらえます。「綾を織り出す」とは、蒔絵に反射した灯火がある模様を(畳の上に)描き出すこと。「」とは模様、ここでは、「燈明」や「蝋燭」の「灯のはためきが」金蒔絵の模様を、「畳の上に行く筋すじもの小川が流れ、池水が湛えられている如く」描き出している、そのありさま。「蝋燭(ろうそく)や燈明の醸し出す怪しい光りの夢の世界」ともとらえられています。


陰翳礼讃 exercise 2 解答例/解説
解答
問1a たしかにまさしく d いっそういちだんとひとしお)                           

  f たよりないぼんやりした

  b ホ  c ニ  e イ  h 

   g よど

問2①漆器のやわらかい感触と中身の汁の重みとその温かみを赤ん坊の肉体にたとえ、軽い椀を持った時の汁が揺れる不安定な感じを赤ん坊を抱いた時の不安定な感覚に例えている。


三昧境

吸い物椀がたてる微かな音を聞きつつ、これから食べる物の味わいに思いをひそめること。 (41字)

室内の暗黒 (5字)


解説

問1adf…《 略 》

  b…同文の「ことがあった」に対応する語、以前・昔と同意義の語。よって、「かつて」。

  c…「日の光りを吸い取って夢みる如きの明るさをふくんでいる」とは逆に、「塗り物の菓子器に入れ」て「暗がり」で見る、という内容に続き、逆接の「だが」となる

  e…「赤味噌」の話題は、「日本料理は明るい所で白ッちゃけた器で食べては慥かに食慾が半減する」の例示であることに気づく。よって、「たとえば」。「味噌汁」「醤油」…とあげられていく。

 h…eの例示の続き。「…、周囲を明るくしたのでは色が引き立たない」に着目。よって、「また」。

 g…《 略 》

問2①…①の直前の「漆器は手ざわりが軽く、柔かで…私は、吸い物椀を手に持った時の、掌が受ける汁の重みの感覚と、生あたゝかい温味(ぬくみ)とを何よりも好む」と、①の後にある「汁がゆるやかに動揺するのを手の上に感じ」に着目して、「生まれたての赤ん坊」を手で支え持った時の共通する感覚をまとめます。

  ②…「神秘」「禅味」とは、漆器の「暗い奥深い底の方に、容器の色と殆ど違わない液体が音もなく澱んでいるのを眺めた瞬間の気持」で、「口に啣(ふく)む前にぼんやり味わいを豫覚する」「その瞬間の心持ち」をいうもの。次段落の「これから食べる物の味わいに思いをひそめる時、いつも自分が三昧境に惹き入れられるのを覚える」と共通する。

  ③…「瞑想」とは、目を閉じて静かに考えることが辞書上の意味。前前文の「私は、吸い物椀を前にして、椀が微かに耳の奥へ沁むようにジイと鳴っている、あの遠い虫の音のようなおとを聴きつゝこれから食べる物の味わいに思いをひそめる時、いつも自分が三昧境に惹き入れられるのを覚える。」を受けて、「日本の料理は(主語)…瞑想するものである(述語)」と主張されている。

  ④…「羊羹」が「暗がり」で特別な味わいを持つようになることを主張する箇所。「あたかも室内の暗黒が一箇の甘い塊になって舌の先で融けるのを感じ」とある。

  ⑤…本文全体のキー・ワード中のキー・ワード。前段に『「」を条件に入れなければ漆器の美しさは考えられない』とあり、後段にも、「暗がりへ沈める」「室内の暗黒」「に調和」とある。漢字1字の語は、「闇」。

 


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