筒井筒
(伊勢物語)
exercise
筒井筒(伊勢物語)exercise 解答/解説
解答
1 平安時代前期 歌物語 在原業平
2 ナ変…いぬ 連体形 サ変…化粧ず 連用形
3 aめ 意志 hに 完了 iし 過去
4 b ふ e せんざい
5 c 数年 (2字) d 浮気心 (3字) f 上品だ (3字) g 嫌になる(4字)
6① 田舎で生業を営んでいた (田舎回りの行商をしていた 地方官暮らしをしていた)
② 越えてしまったようですよ
③ かねてからの望み通りに結婚した
④ いっしょにみじめな生活をしていられようか、いや、いられない
⑤ 行ったふりをしてうかがっていると
⑥ 雲よ、隠してくれるな
7Ⅰ 夫はほかの女の所にいったのに、その夫のために身づくろいを忘れず、夜の山道を行く夫の無事を祈る姿に、妻のひたむきで純粋な愛に心打たれたから。
Ⅱ 高安の女がしだいにはしたない振る舞いを見せるようになったことに男は失望し、さらに、女の自己中心的で恨みがましい心根が嫌になったから。
解説
1 文学史の知識はそのつどインプット!してください。後に楽できます。
2 動詞の活用、この時期にまだの人、助動詞も訳が分かりなくなりますよ。早めにインプット!「筋トレ国語」サイトに【用言】のエクササイズがあります(こちらです)。
3a…「男はこの女を妻にしよう」というコンテクストだから、意志の「む」。さらに、「こそ」の結びだから「め」となります。「む」の活用は四段型。
h…男は行かなくなったというコンテクスト。完了の「ぬ」は、その連用形「に」が「にき」「にけり」「にたり」の形でよく使われます。
i…男が、「そちらへ伺おうと言ってきた」というコンテクスト。過去の「き」、直後が「夜」=名詞なので連体形「し」となります。助動詞、まだの人、早めにマスターして。古典の分かりがとても楽になります。「筋トレ国語」サイトに【助動詞】があります。
4 bはハ行下二段活用の動詞「経(ふ)」の連体形の一部です。「へ」ではありません。誤答の人は2と同じ。
5 cfgは頻出。gは「しみじみとつらいと思う、しみじみと情けなくなる」が辞書上の意味。「5字以内」なので、それから離れすぎないような「嫌になる」を正解にしました。
6 ①…「わたらひ」は、生活をするための仕事(生業とも言います)の意。
②…「にけらし」は、〔完了・ぬ・連用形「に」〕+〔過去の推定・けらし・終止形〕。「けらし」は、「ける」+「らし」が縮合したもの。
③…「本意」は、もともとからの意志や望みの意。「あふ」には「結婚する」の意があります。いずれも基本古語。
④…「いふかひなし」は、言っても何にもならない/言うほどのの価値がない(幼稚だ・つまらない・卑しい・みじめだ、など)の意。「あり」は生きる・生活するの意。「やは」は反語。
⑤…「いぬ」は「いってしまう、去る」の意のナ変動詞。「顔」には、いかにもそのような表情や様子をするという意味でも使われます。「見れ(已然形)+ば」→確定条件→~ノデ、トと訳します。
⑥…「雲」は呼びかけ。「な」は、後に終助詞「そ」と呼応して、…テクレルナという禁止の意となる呼応(陳述)の副詞。「隠すな」という言い方よりソフトで、誂(あつら)えのニュアンス。
7Ⅰ 男に新しい女ができたが、「あしと思へるけしきもなく」送り出し、その後は、「いとよう化粧じて」「風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとり越ゆらむ」と夫の身を案じる歌を口ずさんでいた。これからこの章段が語ろうとしている女の美点を考えて文章化します。思考力・語彙力・文章を組み立てる力が要求されます。
Ⅱ 難しい問です。高安の女が、次第に「手づからいひがひ取りて、笥子のうつはものに盛りける」というように振舞うのを見て、男は嫌になった。生活上の煩瑣なことをするのは使用人(使用人はそれで生活している)、食事の賄(まかない)をするのも使用人で、主人が自分でするのは無作法・はしたないこと、現在の我々にはピンときにくいよね。テーブルで椅子に片膝を立てて食事するようなことを思い浮かべればいいかな。「君があたり見つつををらむ生駒山雲な隠しそ雨は降るとも」「君来むと言ひし夜ごとに過ぎぬれば頼まぬものの恋ひつつぞ経る」の二首から透けて見える女の心根がどういうものかは難しい。
少なくとも、「風吹けば」の自分のことではなく夫のことを思う心根とは対照的。そして、「来てくれると言ったのに来なかった」と詠むのは、正直ともいえるが、恨みがましいというコンテクストになる。「それにしても勝手な男!」「 女は二人ともかわいそう! 」と、今現在の価値観を絶対視して読むと、作品が語ろうとしていることが理解できません。千百年前の男女のあり方や制度・思考法・行動原理・美意識を一端受け入れて、作品が語ろうとされていることに耳を傾けてみましょう。
「業平と高子(伊勢物語)~后候補の姫君とのはげしい恋の顛末 /通ひ路の関守」はこちらから。
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