中島敦
『山月記』 前編
exercise
山月記(中島敦)前編 exercise 解答/解説
解答
問1 a いさぎよ b ひい c 焦燥 d 捜索
e ひるがえ f 衝突 g 交 h かたわ
i あやつ j そら k いしずえ
問2 ① エ ② 進士に登第し(た)
③ 下級の役人の地位を、仕方がないものとして受け入れる
④ 自分の信念を曲げて ⑤ イ ⑥ イ
⑦ 久しぶり挨拶を交わした ⑧ あさましい姿
問3 A エ B ウ C ウ D 残虐な行い E ウ
問4 α(解答例)人間が虎に変身してしまうという非合理な展開を、読者を袁傪と一体化することによって抵抗なく受け入れさせようとする意図。
β(解答例)皇帝から命令を受けてその使者を務めるほどの高位高官の身分。
γ(解答例)虎になりきってしまえば、己の残虐な行いの跡を見、己の運命を振り返らなくてもすむから。
解説
問1 漢字をないがしろにしないでね。確実に得点できるジャンル。現代文のテスト勉強はまず漢字から始めよう。ただし、前後の文脈を読み取りながらに、だよ。
問2① 李徴が、官吏登用試験の科挙に合格したことが語られているよね。科挙の制度は随時代に始まり、唐代に進士・明経など6科に分けて試験された。ここでは、李徴は唐代の最も難関の進士に合格したことになる。小説を正確、そして、深くに読むためには、知識教養も必要だよね。
② これも文中の語・語句をあいまい・いい加減に読み進めないということを忘れないでね。
③ ②に同じ。「甘んじる」(仕方がないものとして受け入れる)は今もよく使われる。
④ ②に同じ。「節」は「節操」(信念をもって道理を守ろうとすること)と同じような意味で使われている。能力高く、志を抱く私が、下級の役人なんかやってられないという信念を曲げて、ということだよ。aQ.1
⑤ ②に同じ。現代もよく使われる慣用表現だよ。問題にしない、無視するという意味。自尊心が強く、自信家であった李徴のキャラクターを理解する上でも大事な箇所。
⑥ 友人の少なかった李徴と親しかった理由が、「 ⑥ の性格」と、「峻峭な李徴の性情」の二項対立で語られている。「峻峭」とは、厳しくきついこと。文脈上その対義語になりうるのは…?
⑦ ②に同じ。「久」は長い時間、「闊」は間が空くこと。「久闊」で長い間会わなかったり、便りをしなかったことをいう。「叙」は述べるの意味は分かるよね。
⑧ 字数指定に気をつける。
問3A HPの問2ヒントを見てね。
B 冒頭の段落に「自尊心」という、この小説のキー・ワードとなる語があった。
C 「愧赧」の意味が分からないと考えられない。これも問2の②と同じ。
D 「それ」とは、直前「それ以来今までにどんな所行をし続けてきたか」(といこと)。その「所業」の性格は、次次次文に「虎としての己の残虐な行い」とある。
E 「これ」は、直前「今までは、どうして虎などになったかと怪しんでいたのに、この間ひょいと気がついてみたら、おれはどうして以前、人間だったのかと考えていた」こと。「恐ろしい」理由は、直後に「いま少したてば、おれの中の人間の心は、獣としての習慣の中にすっかり埋もれて消えてしまうだろう」と語られている。aQ.3
問4α この問は、高校生レベルを超える難問といってよい。答えられなくても凹まない。小説を読んでいる時、私たちは小説世界の時代・環境や登場人物を生きている。フィクションと分かっていても、登場人物に成り代わって喜んだり、驚いたり、悲しんだり…ここでは、読者は「袁傪」という人物に成り代わって、事態を受け止めることになっている。人間が虎に変身するという信じがたい筋立てをすんなり受け入れてしまうのは…?『『「読者」「袁傪」「非合理な展開」の語句を必ず使って』という条件も、考える際の重要なヒントとなっている。aQ.2
β 前前段落の冒頭「監察御史、陳郡の袁傪という者、勅命を奉じて嶺南に使いし」に着目。役職名「監察御史」からも推測できる。「勅命を奉じ」とは、皇帝の命令を受け、という意味。「使いし」とは、ここでは皇帝の使者として赴くこと。ここで袁傪の地位が暗に語られているんだよ。解答(例)では触れなかったけど、次次文にある「供回りの多勢なの」、つまり、多勢のお供の者たちをつき従わせていたも同じ。語句の意味をあいまいいい加減に考えて読み進めないでね。「文中の語句を使わないようにして」という問に答えられない。
γ HPの問4ヒントを見てね。
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