帰京
(土佐日記)
exercise
帰京(土佐日記)exercise 解答/解説
【一】
解答
問1 A うれし B 言ふかひなく C つらく
D 恋しき E 悲しき F 忘れがたく
問2(1)D 人の心の頼みがたさ
(2)D 池め~あり・五年~けむ
問3(1) イ (2) エ
問4 ウ 問5(1) ウ (2)船人もみな
問6 ア 問7 さて、池め
解説
問一 まず選択語群を頭に入れて考える。つらし=薄情だ、言ふかひなし=いいようもないほどだ。A=終、B=用、C=用。
問二(1) 「家に」と表現することで、家だけでなく、隣人の人の心もその家に預けておいたと言いたいのである。家の管理の良否で、人の心が分かるとする考えというとらえかた。先方から申し出があって留守屋の管理をお願いしもしたし、折々にお礼の贈り物もしていたのに、こんなに荒れ放題とは!人の心はあてにならない!
(2) 「諧謔」とは、気のきいた冗談。ユーモア。「池めいてくぼまり、水つける所あり」と、「池」はまったく手入れされていなくて、水溜りのようになっている、と皮肉っている。また、「五年六年のうちに、千年や過ぎにけむ」と、庭のひどい荒れようを皮肉っている。
問三 隣人への怒りはあるものの、家人や従者たちが隣人を声高に非難するのを制して、無用ないさかいを避けようとするような、分別があり穏やかな人柄。この後、その隣人に家の管理への御礼をしようという箇所からも、道理をわきまえた理性的な人格者ぶりがうかがえますね。(1)はイ、(2)はエが解。
問四 「こころざし」は、現代語と同じ、「贈り物」。「むとす」は、意志の助動詞。
問五(1)「小松」は「こども」の比喩として使われる。
(2)同じ船で帰京した人々の子供たちが寄りたかって大騒ぎをしているのを見ていると、いっそう悲しさがしみてくる、という文意。「船人もみな、子たかりてののしる」の初めの五字。
問六 芽を出したばかりの「松」を目にして、この都で生まれ任地の土佐で亡くなった娘のことを切ない気持ちで思っている。「ア 追慕」が適解。
問七 前半=帰京の喜びと、荒れ果てた自邸を見て人の心の頼りがたさを嘆く。後半=庭の小松に託して、亡き娘を追慕する。
【二】
解答
問1 b どうにもならない(言っても始まらない) c 隔ての垣根はあるものの(が けれど)
d ひどい(薄情だ) e 贈り物 i 大騒ぎをする
j 物足りなく k 書きつくすことができない f 松
問2 a し 過去 g る 存続 h ぬ 打消
問3(1) (隣人に家の管理をお願いしていたのに、)こんなに荒れ果てているとはあまりにひどいことだ
(2) 隣人への怒りはあるものの、家人や従者たちが隣人を声高に非難するのを制して、無用ないさかいを避けようとするような分別があり穏やかな人柄。
問4(1) 池のほとりの松の木が半分なくなっていた。 (2) 隣人への皮肉(7字)
問5 生まれし 見し人
問6 一緒に帰らないのだから、どんなに悲しいことか
問7 やっとのことで京の家に帰り着くことができ、喜びにわく周りの人々に(水を差したくないと)気をつかう気持ち。
問8 ここで生まれたが土佐で幼くしてなくなった娘と、同じここで生えたばかりの松。
問9(1)まし 反実仮想 (2) 千年の齢を保つという松のように、いつまで生きながらえていて、見ることができるとしたら
問10(1) かくなん 詠む (2) 破りてむ (3) 多し
問11 平安時代前期 紀貫之 古今和歌集
解説
問1 cは、「こそ~已然形」の逆接用法、~ガ・ケレド。fは着目されているのが「松」、「生ひたる」は生えたばかりの、の意。
問2 「り(完了/存続 サ変の未と四段の已然に接続)/ まほし(願望 未然に接続 / ず(打消 未然に接続/ さす(使役/尊敬 未然に接続)/ き(過去 用に接続))をまず頭に入れて、前後の文脈と文法(特に接続)から考えます。a…「より」に続くので連体形「し」。g…「ぞ」の結びになるので連体形。h…「思い出さないこととてなく」と文脈上二重否定=「…打消し…なし」となると判断します。
問3(1)「かかること」とは「このありさまは」という意味。具体的にはその直前の「いふかひなくぞこぼれ破れたる」=「お話にならないくらい壊れ傷んでいるありさま」のこと。「あまりにもひどい」というような言葉を補う。
(1) 留守中の家の管理は隣家から申し出たのに、これほど荒れるに任せていたとは、と怒りがこみ上げるやらあきれるやらするが、でも、隣人を非難する声を制する、そんな「人柄」をどうまとめるか?
問4(1)「ほとりに松もありき。…かたへ(その半分)はなくなりにけり」とある。
(2)留守中の家の管理をしていたはずの隣家への怒り、あきれる気持ちを間接的に表現。
問5 「女子」は、ここでは土佐で亡くなった娘のこと。「生まれし」は「ここで生まれた(娘)」、「見し人」は「かつての恋人・妻」の意で多く使われるが、ここでは、「かつての人=亡き娘」。独特の言い表し方を理解する。
問6 「ね(打消しの助動詞 ず 已然)+ば」は確定条件、~ノデ・カラ。「いかが」はドウ・ドンナニカの意の疑問/反語の副詞で、連体形で結ぶ。ここでは疑問で程度を強調する言い方、詠嘆に通じる。
問7 「船人もみな、子たかりてののしる」と「なほ悲しきに堪へず」との対照。問3(2)に通じる。やっとのことで都に帰り着いて喜んでいる人たちの気持ちに水を差したくないとする心理。
問8 「今生ひたる」=「小松」と「生まれしも帰らぬ」の対照。「同じ船で帰ってきた人たちの子供たちが大声で騒いでいることと、この家で生まれた娘が亡くなって一緒に帰ることができなかったこと。」も可
問9 ⑦「松の千年に見ましかば遠く悲しき別れせ【 】や」について、
(2) 「ば~まし」「せば~まし」「ませば~まし」「ましかば~まし」の反実仮想の型に注意。~デアッタトシタラ、~ダロウニの意。
(2) 「の」は比喩の用法。「松のように千年の齢で」ということ。「~ましかば~まし」=反実仮想→出題されます。
問10(1)結びの省略
省略
(か・や・なむ・こそ) ⇩
に(断定の助動詞 なり 用) + 係助詞 〔あり〕。
く(形容詞型の語) + 係助詞 〔あり〕。
と(引用の格助詞) + 係助詞 〔あり〕。
☆「や」「か」の結びには、推量の「む」を加える。それ以外は、基本形を結びの形(体か已)にして補う。
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