「名作ってこんなに面白い」サンプル
羅生門 2010/02/25
ガバナンス ゼロ
アフリカ東岸にある国や地域では、海賊を生業にしている人々が大勢いて、日本政府はその海賊対策に協力している(こちらを)という…知っていますか?優秀な海賊の若者は、女の子たちの憧れだともいいます。
国家のガバナンスがゼロ、うっかりしていると強盗に襲われる、仕事も収入もない国・地域の人々が、自分が生きるために、あるいは、家族を養うためにできる数少ない仕事の一つが海賊だということを真っ向から否定できるでしょうか…?考えさせられるよね。この日本だってつい50・60年前、敗戦後の貧しい時代、法的に禁止されている物品を売り買い(闇屋 こちらを)したり、闇酒をひそかに造って(密造酒 こちらを)売ったりして生き延びていた人が大勢いました。中には、多くの女性が、親が作った借金返済のため、あるいは、家族(祖父母や両親や兄弟)を養うため米兵など相手に売春をしていたこと(今では考えにくいことだけど、「パンパン」(こちらを)とか特殊慰安施設協会という国営の占領軍対象の売春施設を日本政府が設けていた(こちらを))ということなどについて、語られることは少ないけど、知っていたほうがいいと思う。過去を知ることは、今のわれわれを知るために欠かせないものだから。
光と影
また、物事には必ず光と影があり、影ばかりを言いつのる政治家・有識者、逆に光だけをかかげて美化する政党・評論家、どちらも鵜呑みにできないな、と思うのは健全な感覚を持っているといえるんじゃないかな。コインは裏があるからこそ表があり、その逆も同じ、50/100=100だと言い張る主張には気をつけた方がいいよね。
お金が集まるところにはジャブジャブ集まり、流れてくるところには、ジャンジャン流れてくるのが現実というもの。この日本でも、毎日100万円や200万円使いつづけても、とても使いきれないような資産を持っている人が少なくない数いるといいます。
その一方、まじめに働いても年収200万円に届かない人たちが1200万人を超えたといわれている(2007年国税庁のデーター)。給与所得者は4500万人足らずだから、100人のうち20人が200万円以下ということになる。
年収200万円といわれても実感が無いと思うけど、そこから所得税や社会保険料(医療・年金・介護)などが差し引かれる。その他、家賃は少なくとも3万円はする。水道光熱費も必要。すると、年収200万円の人の可処分所得(こちらを)は額面の半額の100万円。一日300円となり、生きていくのも難しい。
ポリティカル・コレクトネス ?
日本はGDP世界三位で莫大な冨を所有しているのに、割り切れないよね。やはり政治の無能としか考えられないと思うんだけど。支配層が運転手つきメルセデスに乗り、超贅沢な暮らしをしているのに、何百万人という餓死者がでる(こちらを)というどこかの国を笑うことができるのだろうか…?
でも一方、再分配政策(こちらを)を強化して平等を徹底した社会に、われわれ人間は本当に満足するのだろうかとも思う。このことについては、曽野綾子さんが『人間にとって成熟とは何か』という本で、相当な平等社会を実現しているといわれているニュージランドでの体験と微妙な違和感を含んだ感想を述べられている(こちらへ)んだけど、いろんなことを考えさせられた。興味を持てたら読んでみてね。
『羅生門』で語られている、情緒的で感覚的な正義感から現実的で合理的な判断へ、そして、現実という闇を生き抜くためにはなんだってやる!と思い決めた下人(こちらを)。ここから話題が飛んでいったけど、本を読むとこういうことあるよね。そういうこと、大事にしてほしいと思います。
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羅生門 2/2 問題解答(解説)
2 解答例… 老婆が屍骸から髪を抜くことを正当化する理屈は、そのまま下人が老婆から引剥をすることを正当化する論理となるのだと、老婆を馬鹿にする心理。
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