羅生門(芥川龍之介)2/2 exercise解答例/解説
解答
1(1)芥川龍之介 (2)新思潮派
2c濁 e白髪 f暫時 h語弊 m成就
3aハ dニ lホ pイ
4b見くびる(あなどる) g 今昔物語集 i 松の木片 k 盗人 o 縄
5jホ nハ
6①毎日ひげを剃るような身だしなみに気を使うまじめな人物。
②上では 〜 らしい
③六部の恐怖心と四部の好奇心
④屍骸が腐敗し(はじめ)ているから。
⑤しかし下人
⑥半信半疑
⑦想像を絶するような異常な理由を期待していたから。
⑧下人に殺されまいとして自己正当化する心理。
⑨あらゆる悪を憎み、悪を犯すくらいなら飢え死にした方がよいという思い。 (34字)
7 老婆が屍骸から髪を抜くことを正当化する行為は、そのまま下人が老婆から引剥をすることを正当化する論理となるのだと、老婆を馬鹿にする心理。
解説
1(1) 旧字体の「龍」、正確に。横3本線だよ。 (2)東大系の同人誌「思潮」の同人だったのでそう呼ばれる。耽美派や白樺派と区別し、新現実派とも呼ばれる。ほかに、久米正雄・菊池寛らがいることも、余裕がある人は覚えていてね。
3 五つの選択肢を頭に入れて、空欄前後の語句に着目。a→直後「身をちぢめて、息を殺しながら、上の様子をうかがっていた」。獲物に飛び掛ろうとしている「猫」の様子と重ねられている。もっとも、最近の猫は、キャッツフードなどをふんだんに与えられ贅沢な生活をしていて、そんな猫の様子を目にすることも少ないけど。 d→直後の「足音をぬすんで、…はうようにして…体をできるだけ、平らにしながら、首をできるだけ、前へ出して、恐る恐る、楼の内をのぞいてみた」に着目。 l→直後の「の脚のような、骨と皮ばかりの腕」に着目。 p→直後の「つぶやくような声で、口ごもりながら」に着目。ここでは、聴覚的表現なんだよ。もっとも、「やもり」「蟇」など現在では身近な生き物ではないよね。字面の知識ではなく、実感的知識として身につけるためには、次にリンク。蟇。 ヤモリ。
4 bo…語彙力は国語力の重要な要素。仲間内の会話の語彙だけではおぼつかないよ。本や新聞を読む、いろいろのメディアの評論やディベートなどに興味を持つなどに意識的になる。g…「羅生門」はこの作品を下敷きにしていることは授業でも説明があったはず。教養として知っておくといいよ。i…直後の「勢いよく燃え上がり出していた」に着目。前々段の「その老婆は、右の手に火をともした松の木片を持って、その屍骸の一つの顔をのぞきこむように眺めていた。」に気づく。「縄をかける」とは、罪人を捕えること。小説は、漫然と読み進めないで、映像的イメージを思い浮かべながら読み進めるんだよ。k…前編を読んでいるのでわかったと思うけど、結末近く「下人は、太刀を鞘におさめて」で始まる段に「下人は、飢え死にをするか盗人になるかに、迷わなかったばかりではない」とある。
5 j…なぜ、老婆が死人の髪を抜くのか→論理的合理的理由は分からなかった。これとは対照的に、この怪しげな場所に雨の夜にわざわざやって来て、死人の髪を抜くというただならぬ行為を悪行と決め付ける→感覚的情緒的判断。この二項対立で捉える。
n…悪の権化(老婆)を取り押さえ、しかも、「老婆の生死が、全然、自分の意志に支配されているということを意識した」、その時の下人の心情は…。
6 ① 前編の「洗いざらした紺の襖」「この下人が、永年使われていた主人から、暇を出されたのも」と対応して、下人の人物像を読み取る。勤勉正直善良な人柄。ここでは、それにプラス、「暇を出さ」れる前は無精ひげにならないよう身だしなみにも気を使うような、きちんとした、まじめな人物であることがさりげなく語られている。
② 指示語の指示内容は、直前直前と遡る、プラス、「…こと」と代入して文意が通じるか考えるのが常道。勿論、指示内容が、ぴったりと抜き出せなくて要約しなければならない、かなり前まで遡らなければならない、指示語より後にあることもあるので、慎重によくよく考えること。
③ 具体的に何を目にしてどういう感情になったのかは、次・次次段落に語るという仕立てになっている。不気味極まりない老婆が屍骸の顔尾を覗き込んでいる。それを見た下人はどういう気持ちに襲われたのか…。
④ 「下人は、それらの屍骸の腐乱した臭気に思わず、鼻をおおった」という箇所。描写を漫然と読み過ごさない。もっとも、腐乱した屍骸から爪や髪がたやすく抜けるなど普通考えたりはしないけど。
⑤ この段のキーワード「憎悪」「悪に対する反感」「悪を憎む心」(文中をマークしてね)。そういう気持ちになった理由は次段に書かれている。
⑥ どういう場面なのか具体的にイメージして読むんだよ。「下人は、老婆をつき放すと、いきなり、太刀の鞘を払って、白い鋼の色を、その目の前へつきつけた」とあり、その後、老婆を捕らえたり危害を加える気はないといって老婆を安心させようとしている。そこでの老婆の様子はどういう心理を語るものか、考える。
⑦ 「その髪の毛が…」で始まる段の「悪を憎む心」、その次の段の「下人にとっては、この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜くということが、それだけですでに許すべからざる悪であった」に着目。異常な状況での異様な行為を目にして、その行為の背景にある尋常ではない理由を期待していたと考えられる。③の解答「好奇心」に通じるもの。
⑧ ⑥でも着目した「下人は、老婆をつき放すと、いきなり、太刀の鞘を払って、白い鋼の色を、その目の前へつきつけた」、さらに、「そうして失望すると同時に、また前の憎悪が、冷ややかな侮蔑といっしょに、心の中へはいってきた」の箇所、そして、老婆の長い会話文の直後の「下人は、太刀を鞘におさめて、その太刀の柄を左の手でおさえながら」から、老婆の弁明の意図を読み取る。
⑨ 「その髪の毛が」で始まる段落に着目。キーワードは「憎悪」「悪に対する反感」「悪を憎む心」。字数制限を考え、文中の語句使いまとめる。
7 「あざける」とは、「馬鹿にして笑う」こと。老婆が自己正当化する弁明を聞いて、下人が何を思い、何をしたか。なぜ、老婆を馬鹿にするこことなるのか、考えてまとめる。この小説の山場であり、テーマ理解のキーになる問。
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