現代日本の開化(夏目漱石) もっと深くへ !

 現代日本の開化 

(夏目漱石)

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〈内発〉と〈外発〉の二項対立から

 

 次の二項対立で理解します。

  内発的     ⇔ 外発的
   ↑          ↑
  自然の推移   ⇔ 自然に逆らった(=「無理押しに押されてやむをえず」・「否応なしに」)

 「自然の推移」とはどういうことかを「意識」の問題として語っています。



意識の湧出

 「開化の推移はどうしても内発的でなければうそだ」と言うのは、次のように論じられています。



 人間の意識の内容は、心の絶え間ない動きと一緒になって、明らかな点と暗い点とが弓形の曲線のように推移してゆく。

  ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 

 集合意識も、長時間にわたる意識も、弧線のような一つのまとまりをなしていて、それ自身の要求の度に従って自然な消長を繰り返している。

  ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓  

 開化というものは、そうした弧線が無数につなぎあわさって進んでゆく大きな波のようなものだから、新しい波への推移は、内部欲求の要求によって自然に展開してゆくものでなければならない。

 


現代日本の開化 1/2 問題解答(解説)

問1 行雲

問2 かぶれた

問3 解答例…西洋文化の圧力に屈する他に、日本が国家として存立する方法がなかったから。
(「外から無理押しに押されて否応なしにその云う通りにしなければ立ち行かないという有様になった」にさかのぼって着目できましたか。「分かりやすく」という問。欧米列強諸国は、アジアの他の地域と同じように日本を植民地化しようとしていた。そういう中、独立国家を保持するためには、急速に西洋の文明文化を学び、近代的インフラを整え、資本を蓄積するなどが迫られていた。こうして植民地を獲得し経済規模を拡大していくという帝国主義の時代、つまり、植民地とされるのか宗主国となるのかという時代に巻き込まれていくのです。)


問4 外発的の開化が心理的にどんな影響を吾人に与うるかと云う問題(27字+問題)

問5 本を読むに ~ に過ぎない

問6 解答例…講演を聴いている大多数の団体の意識が、それからそれへと順次消長すること。
(この段落冒頭「例えて見れば」から直前「ありません。」までの内容を受ける。それを要約することになります。この段落冒頭「多人数の団体が今ここで私の講演を聴いておいでになる」、この段落最後から3文目にある「それからそれへと順次に消長している」・次段落2文目「順次に推移」に着目してまとめたのが、上の解答例です。イマイチでしたら本文にマークしながら理解してください。〈集団の意識と時間〉についての話題。)

問7 内発



現代日本の開化 2/2 問題解答(解説)

問1 借り着をして世間体を繕っているという感

本来の内発的な開化ではないのでなんとも落ち着かないし違和感を持たざるを得ない、ということです。)


問2 解答例…日本の開化が内発的でないために国民は古い開化に未練を残し、新しい開化にはそれが西洋の真似であるがゆえに違和感を持っているから。


問3 解答例…現代日本の開化は外発的なものなのに、内発的であるかのごとき顔をすること。 (36字)


問4 解答例…西洋人が我々より強いので、己を捨てて西洋の習慣に従わなければならなくなるから。


問5 西洋で百年かかってようやく今日に発展した開化を日本人が十年に年期をつづめて、しかも空虚の譏りを免れるように、誰が見ても内発的であると認めるような推移をやろうとすれば


問6 彼ら西洋人~と仮定する

(現代日本の開化が、内発的(全文のキーワード。何度も繰り返して使われています。チェック!)なものでなく、外発的・「皮相上滑り」なものだという主張が一貫してなされています。ここでは、「学問を例に」して論じられています。解答個所は直前の文にあります。「…たら」と「…と仮定すると対応してととらえられます。)


問7 自然(冒頭の最初の文。間違った人は「ヒント」へ。)


問8 解答例…単なる地理的な偶然を持ち出して自慢し誇示するおろかさに気づかないこと。


a.Q 解答例…開化がいかに進歩しても人々の受ける安心は少なく、そのうえ神経衰弱にかかるとすれば、日本人は気の毒とも憐れとも言い難い悲惨な窮状に陥っている。これが悲観的な結論だが、ただできるだけ神経衰弱にかからない程度に、内発的に変化してゆくのがよかろうというより外はないこと。 (129字)


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