肝試し/道長の豪胆(大鏡)もっと深くへ !  & 解答(解説)


「大鏡」とは

 摂関政治の絶頂期を過ぎたころ、過去を振り返る動きが起こり、〈歴史物語〉という新しい文学ジャンルが産まれました。

 それまで歴史は「日本書紀」のように漢文で書かれましたが、十一世紀中頃仮名で「栄華物語」が書かれ、続いて十二世紀に「大鏡」が書かれました。「栄花物語』は藤原道長賛美に終始していますが、「大鏡」は批判精神を交えながら、歴史の裏面まで迫る視点をも持ち、歴史物語の最高の傑作といえます。二人の二百歳近くの老人とその妻、それに若侍という登場人物との、雲林院の菩提講での会話を筆者が筆録しているというスタイルで書かれています。これも独創的な記述の仕方で、登場人物の言葉がその性格や場面に応じており、簡潔で躍動的、男性的な筆致と相まって、戯曲的効果を高めているものです。



藤原道長とは

 織田信長・豊臣秀吉は天下人(てんかびと)と呼ばれるが、藤原道長は平安時代の天下人と呼んでよいような人物(一の人)。兼家(室の一人に『蜻蛉日記』の作者藤原道綱母がいる)の五男。娘を次々と后に立て、外戚となって内覧・摂政・太政大臣を歴任、権勢を振るい、栄華をきわめた。「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」と詠った。一条天皇の后となった娘の彰子に仕えたのが『源氏物語』を書いた紫式部である



道長の描き方

 兄(道隆・道兼)二人と対比させ、道長の「心魂」がいかに優れていたかを説いている。

 兄二人がいかにも小心にびくびくしているのとは対照的に、道長は途中まで見届け役をつけるよう申し出たり、証拠を残すために小刀を拝借したりして余裕しゃくしゃくである。

 また、途中から逃げ帰った兄二人に対して、道長は平然として高御座の柱を削り取って帰ってくる。

 生霊や霊怪の存在を信じていた当時の人々にとって、道長の行動は驚くほど大胆なものと受け止められた。

新しい男性像

 このエピソードで、道長は物の怪など恐れることなく平然と沈着に行動する。ここでは、これまでの物語とは異なる理想の男性像が描かれていると言ってよい。学問や和歌の教養や楽器の演奏よりも、「心魂」に秀でる豪胆さ胆力のある人物を理想としている


 この「大鏡」の作者は未詳でいろいろと推測されているようです。権力中枢やその周辺の人であることは間違いないのでは。藤原氏を中心とした権力闘争の実相を冷静に、しかも、いきいきと描きだしています。秀逸なストリー・テーラーだったようです。


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解答(解説)

問1 なる はべる(「な」は1段落に「こはきめり」、さらに、2段落1文目末「夜めり」の語句にある。〈あンめり・なンめり・たンめり〉でインプット。「はべ」は最後から2つ目の文にある。)

問2 ア 益なし
   イ ののしる
   ウ つれなし
   エ 念ず (いずれも重要古語なのでインプット !)

問3 解答例…不気味な感じのする所。(直前に「恐ろしげなる」「むつかしげなる」「気色おぼゆ」とある。)

問4 解答例…とても参ることはできますまい


問5③ 丁寧語 道長が花山帝に敬意を表す。
  ⑦ 謙譲語 語り手が花山帝に敬意を表す。
  ⑧ 尊敬語 語り手が道隆と道兼に敬意を表す。
(敬語の用法まだ頭に入っていない人は、すぐ文法テキストを開いて inputして!)

問6 解答例…確かに大極殿の中まで行ったことの証拠の品として、高御座の南面の柱を切り取るため。 


問7 解答例…道隆と道兼が、肝試しの途中、「命があってこそご奉公もかなうというものです。」と言って、恐怖の余り無我夢中で引き返してきたから。


問8 つゆ (3段落1文目にあり。)

問9(1)栄華物語
    (2)今鏡 水鏡 増鏡

a.Q

Q.1 解答例…将来偉くなるほどの人。(「さるべき」は、「そうなるはずの」の意の熟語、兄弟二人を超えて政権を掌握し、栄華を手に入れた天下人の若い日の出来事として語られている。10字以内という字数制限で書けること。)

Q.2 解答例…風変わりで物好きな点。夏の雨降る闇夜に肝試しをさせるというようなことを思いつく花山天皇のご性格をどうとらえて10字以内でまとめるか考えます。)

Q3. 解答例…深夜、大極殿に行き、証拠の品まで持って平然と帰って来たこと。(30字)

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