門出/馬のはなむけ
(土佐日記)
exercise
門出/馬のはなむけ(土佐日記)exercise 解答/解説
【一】 《スタンダード》 [50点]
解答
問一(ア) あがた (イ) げゆ (ウ) たち (エ) いずみ
問二(a)オ (b)カ (c)ウ (d)ア
問三(1)ウ (2) 紀貫之
(3)例のことども 〔別解〕船に乗るべき所〔別解2〕かれこれ、知る知らぬ
問四 ②= ウ ③ エ ⑤ ア ⑥ エ
問五 ⑦ エ ⑧ ウ ⑩ ア
問六(1) 誠意のある人 (2) ア
(3) 「なむ……ける」の係り結びを用いている。
解説
問一 《略》
問二(a)… 直前の「す」はサ変動の終。終に接続する「なり」は伝聞/推定の助動詞。オが解。
(b)… 直前の「する」はサ変動「す」の体。体に接続する「なり」は断定の助動詞。カが解。
(c)… 直前の「知ら」はラ行四段動「知る」の未。未に接続する「ぬ」は、打消しの助動詞「ず」の体。ウが解。
(d)… 直前の「更け」はカ行下二段動「更く」の未か用で、未としたら「ぬ」は打消しの助動詞「ず」の体となり、用としたら「ぬ」は完了の助動詞「ぬ」の終となる。文意から「ぬ」は完了の助動詞「ぬ」の終となる。アが解。
問三(1) 「竹取物語」現存する日記文学の最古のもの。平安時代前期に成立。905年「古今集」成立。その後の、938年に成立。748年は奈良時代。
(2) 「土佐日記」の作者の名。「紀貫之」が解。
(3) 「土佐日記」は女性が作者であるという虚構によって書かれている。また、政治的な配慮から日記の主要人物が特定されないように、年月や港の名などをぼかして書いている。
問四 ②⑤⑥…基本古語。
③…昔は干支で時刻や方角を表現していました。次の図を見て下さい。
「キッズ タイム」より引用
図中の数字は時刻を表しています。24時表示の時計だと思ってもらえれば図が見やすいかと思います。
例えば、2時のことを古文の世界では『丑の刻(うしのこく)』と言っていた、ということです。
『子(ね)』から順番に時計回りで2時間ずつ時間が進みます。つまり、十二支の順番と、2時間ずつ時間が進むことを覚えておけば、何時なのかが分かるということです。よってエが解。
問五⑦… 船旅なのに、「馬のはなむけ=餞別」をしてくれたという諧謔。エが解。
⑧… 海のほとりで塩がきいているのに腐っている、と「あざる」には、「ふざける」という意味の語と「(魚肉などが)腐る」という意味の同音異義語があるのを使った洒落。海辺で羽目をはずして楽しんでいる事実を洒落て言ったもの。ウが解。
⑩… 卑しい身分の者まで酔っ払って足元がおぼつかない状態で戯れていることを、一という文字さえ知らない者がその足を十の文字のように踏み足して遊ぶという数字を使った洒落。アが解。
【ニ】 《アドバンス》 50点
解等例
問1 a しは(わ)す b いぬ c げゆ
問2 d あの人この人 e 親しくつき合う f 一日中絶え間なく(ずっと)
g 大騒ぎする h 国司の長官の人柄 i その地方の人(土着の人)
問3 ①の「なる」はサ行変格活用動詞「す」の終止形に接続しているので、伝聞の助動詞「なり」の連体形である。「書くと聞いている(という)」と口語訳できる。 ②の「なり」はサ行変格活用動詞「す」の連体形に接続しているので、断定の助動詞「なり」の終止形である。「書くのである(書いてみようと思うのである)」と口語訳できる。
問4・ 和泉の国までは外海で波風が高く、難所も多く難破する危険性があったので。
・ 海賊がいて、襲われる危険も高かったので。
問5 船旅だから馬には乗らないのに、馬のはなむけ(=餞別)をするという洒落 (諧謔表現)を意図している。
問6 海のほとりで塩がきいているのに腐っているので。
問7 国司の任を退いた今となっては、その人に餞別などしてお愛想を示しても利益を得ることなど無い、と思ってやって来ない。
問8 卑しい身分の者まで酔っ払って足元がおぼつかない状態で戯れていることを、一という文字さえ知らない者が、その足を十の文字のように踏み足して遊ぶという数字を使った洒落。
問9(1) 思ふ (2) ざる・ず・打消 (3) 恥ぢ
(4) 守柄にや (5) 出でます・尊敬・作者から「講師」へ
解説
問1《略》
問2《略》
問3 この際文法テキストなどで《「なる」「なり」の識別》、完全マスタ ー!
問4 和泉の国とは、現在の大阪府南西部の地域を言う。ここまで来ると、海も穏やかで都も近い。1000年前の造船技術のレベルや、海賊行為を生業にしている者達がいて国司〈地方行政や司法に携わるトップ〉の乗っている船でも襲われる程度の治安状態であったこと、船旅は現在からは想像できないくらいリスキーで不安なものであったことを理解。
問5 「船路」と「むま(馬)」とは言葉の辻褄が合わないのを洒落ている。
問6 これも問5と同じく、「あざる」には、「ふざける」という意味の語と「(魚肉などが)腐る」という意味の同音異義語があるのを使って、辻褄が合わないとする。海辺で羽目をはずして楽しんでいる事実を洒落て言ったもの。
問7 「今は」の直後に「用もない」「関係ない」というような内容が省略。「見え(ヤ行下ニ動「見ゆ」未/ざ(打消し助動詞ず体「ざる」の撥音便で撥音の無表記/なる(伝聞助動詞「なり」の体)
国司の任を退いた今となっては、その人に餞別などしてお愛想を示しても利益を得ることなど無い、と思ってやって来ない。(「見ゆ」とは、見える・会う・やって来る・見せるなどの意味がある。ゲンキンな人々と対照して「八木のやすのり」という人の誠実さ・情の深さに感動したことが語られているシーンです。同時に、そのように慕う人がいた自分を誇る気持ちも暗に示されています。)
問8 文字は手で書くものであるが、そのいちばんやさしい「一」という字も知らぬ者が、「足」で「十」という文字を書くという洒落。
問9(1) 思ふ(「年ごろ、よく比べつる人々なむ、別れがたく思ひて」のフレーズ。「なむ」の結びは連体形「思ふ」となるが、ここでは、「て」という接続助詞に続くため連用形「思ひ」となっている。こういう現象を「結びが流れる」という。
(2) ざる・ず・打消(2段落の1文目にある)
(3) 恥ぢ(「恥づ」はダ行上ニ段活用。ダ行上ニ段活用動詞は現代語ではザ行上一段活用になることを理解。)
(4) 守柄にや(「に(+助詞)+あらむ」のパターンの「に」は断定の助動詞「なり」の連用形、「あらむ」が省略されることもあるという知識もインプット。)
(5) 出題されます・尊敬・作者から「講師」へ(「出でます」は、「出づ・来・あり」の尊敬語、現代語の「お出になる・いらっしゃる」。インプット。)
問10 《略》
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