要約する(1/2)
不吉な塊(かたまり)の影響によって心惹(こころひ)かれるものが以前とは異なって、みすぼらしくて美しいもの、しかも、贅沢(ぜいたく)なものとなった。ある日、私の一番好きな店である果物屋で足を止めたのだが、その家が美しいのは夜だった。
【長江春芳さん作】梶井基次郎「檸檬」
2021/02/15
「私」を追体験する
この小説、ここから人生の指針や生きる励(はげ)ましや教訓などを読み取ろうとしても無意味、そんなタイプの作品だと考えたほうがよいと思います。そういう読み方をしていくと意味不明 に陥(おちい)ることになるでしょう。この作品、もともとそのようなものを書こうというモチベーションは皆無(かいむ)といえます。もっとも、どんなことからも教訓を得ることができるといえば、それ まで否定しませんが…。
ふつう、人生上の教訓や指針を得るためにモーツアルトを聴いているのではないでしょう。それではなんのため聴くの…?
死に至る可能性の強い病(肺尖カタル)を得、借金返済を迫られ、さらに鉛そのもののようにずーんと重い気持ちから逃れられない、そのためなのか、それまで好きだった、洗練され技巧が尽くされた音楽も詩も我慢がならなくってしまう。いたたまらなくて、放浪することとなる。そんな現実の私を忘れさせてくれるものは… と書かれている心理、境遇、行動、風景、イマジネーションを受け入れ、自分も「私」に付き合い、「私」を可能な限り追体験することに意味があります。モーツアルトを聴くように、じっくりと読み味わってみてください…最後に「檸檬爆弾」の爽快さを感じながら、「活動写真の看板画が奇体な趣きで街を彩っている京極を下って行」くことができたら、この小説を本当に読んだことになります。
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檸檬 1/2 問題解答(解説)
問1 解答例…厳しく返済を迫られ、その処理に苦慮しなければならないような借金。
(「背を焼くような」は直喩。背中にやけどするような痛みを覚える、それ似た苦痛をもたらす借金。厳しく返済を迫られる、けど、返済する当てがない、ますます厳しく迫られる、そのスパイラルに苦しむ「私」。)
問2
1)解答例…花火の火花の色・形(や破裂音)のことはあとまわしにして。
2)解答例…花火そのものの美しさは華麗であり、よそよそしい美しさに属するので。
(「花火そのもの」は「以前私を喜ばせた…美しい音楽…美しい詩」と同種のもの。ニ段落の、「表通り」=「よそよそしい」VS.「裏通り」=「親しみのある」のアナロジーと考えればいいでしょう。)
問3 以前私を喜ばせた美しい音楽、美しい詩
(直後の段落で、これらと同じような性格を持つものとして、丸善においてある小物や画集などを話題にするという展開。第一段落に「辛抱がならなくなった」と述べてあります。)
問4 解答例…電灯の光が周囲が暗いためいっそう明るく見え、店頭を絢爛と照らし出している眺めの美しさ。(35字。)
問5 それがどう(二つ前の文頭にあります。)
a.Q1 解答例…現実の私自身を見失うのを楽しむため。
a.Q2 以前「私」を喜ばせた美しい音楽や詩。(18字)
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